目次
はじめに
贈与により財産を取得した場合には、必ず贈与税が課税されるではないかと心配されていませんか?
この記事で紹介する「贈与税の非課税財産」をご覧いただけば、贈与により財産を取得した場合でも、贈与税が課税されない財産があることがお分かりいただけると思います。
なぜなら、取得した財産の性質や贈与の目的等からみて贈与税を課税することが適当でないものについては、贈与税が課税されないことになっているからです。
この記事では、贈与税が非課税とされているものを具体的にお伝えします。
この記事を読み終えると、贈与税の申告をしなくてはいけないのか、しなくてよいのかの判断をいただけるようになります。
法人からの贈与により取得した財産
贈与税は、相続税の補完税という性格から、その納税義務者である受贈者は、原則として個人に限るとともに贈与者も個人に限ることになります。
したがって、相続という事実が起こり得ない法人については、相続税の補完という問題が生じないため、法人から贈与により取得した財産については、贈与税は非課税となります。
ただし、所得税(一時所得、給与所得ほか)が課税されます。
扶養義務者から生活費や教育費として贈与を受けた財産
扶養義務者相互間における生活費又は教育費の贈与で、通常必要と認められるものについては、贈与税が課税されません。
これは、日常生活に通常必要な費用を扶養義務に基づいて贈与されたものについてまで税金を課税するのは適当でないという考え方から来ています。
では、婚姻にあたり、子が親から婚姻後の生活を営むために、家具や寝具、家電製品等の日常生活を営むのに通常必要な家具什器等の贈与を受けた場合や結婚式や披露宴の費用を親が負担した場合はどうでしょうか。
贈与を受けた金銭の金額を購入費用に充てた場合や結婚式、披露宴の内容等に鑑み本来費用等を負担すべき者それぞれが、その費用を分担し負担した場合には贈与税の課税対象となりません。
ただし、残った金銭が預貯金となっている場合等のように、その本来の目的に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象となりますので、ご注意ください。
公益事業用財産
宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で、一定の要件に該当するものが贈与により取得した財産で、その公益を目的とする事業の用に供されることが確実なものは、贈与税が課税されません。
一定の特定公益信託から交付を受ける金品
特定公益信託で、学術に関する顕著な貢献を表彰するものとして、若しくは顕著な価値がある学術に関する研究を推奨するものとして財務大臣の指定するものから交付される金品で財務大臣の指定するもの又は学生若しくは生徒に対する学費の支給を行うことを目的とする特定公益信託から交付される金品を取得した場合には、贈与税は課税されません。
心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
条例の規定により、地方公共団体が精神または身体に障害がある者に関して実施する所得税法施行令第20条第2項に規定する共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利を取得した場合には、当該権利の取得者については、贈与税は課税されません。
公職選挙の候補者が贈与により取得した財産
選挙における公職の候補者が選挙運動に関し、個人から贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、公職選挙法の規定により報告されているものについては贈与税が課税されません。
特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
特定障害者が、特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権の贈与を受けた場合には、その信託の際に「障害者非課税信託申告書」を信託会社の営業所を経由して特定障害者の納税地の所轄税務署長に提出することにより、信託受益権の価額のうち6,000万円(特別障害者以外の者は3,000万円)までの部分の金額については贈与税が課税されません。
なお、制限納税義務者及び非居住無制限納税義務者については、この非課税制度の適用はありません。
社交上必要と認められる香典等
個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、法律上は贈与にあたるものであっても、それが社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与が課税されないものとして取り扱われています。
相続開始の年に被相続人から贈与を受けた財産
相続または遺贈により財産を取得した者が、その相続開始の年に、被相続人から贈与により取得した財産については、相続税の課税価格に加算して相続税を課税することになりますので、この財産については贈与税が課税されません。
なお、相続開始の年に、被相続人である贈与者から贈与により財産を取得した場合であっても、その被相続人から相続または遺贈による財産を取得しない場合には、贈与税が課税されます。
おわりに
いかがでしたか?この記事では贈与税が非課税とされる財産について、具体的にご説明いたしました。
あまり馴染みのないものもあったかと思いますが、贈与を受けたとしても、贈与税の課税の趣旨にそぐわないものは、基本的に非課税とされていますので、参考にしてください。
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