2022.04.21

未開封の遺言書を発見した場合の対応について

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

遺言書を発見しましたが、勝手に開けてよいかわからないとお悩みではありませんか?

この記事でご紹介する遺言書の開封方法をご覧いただけると解決します。

なぜなら遺言書の開封方法にはルールが決まっているからです。

この記事では、遺言書の開封ルールについて解説いたします。

この記事を読み終えると、遺言書の開封について悩むこと無く円滑な手続きが可能になります。

遺言書の種類について

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言書とは、遺言者が遺言の全文、日付及び氏名を自書し、押印して作成する方式の遺言です。(民968条)

自筆証書遺言のメリットとしては、作成に費用がかからず1人で容易に作成できるという点があります。

しかし、専門の法律家のチェックを受けないまま作成するので、方式不備で無効となる可能性が高かったり、一部相続人より隠蔽や改ざんされてしまうおそれがあります。

そもそも遺言書が発見されない場合もあり、これらが自筆証書遺言のデメリットとなります。

公正証書遺言とは

公正証書遺言書とは、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口述し、公証人がその内容を筆記して公正証書により遺言書を作成する方式の遺言です。(民969条)

公証人は裁判官や検察官などを務めた法律実務家が任命されており、その公証人が作成者の意思を確認しながら作成する公正証書は信用性が高いものとなっています。

よってメリットとしては、方式や内容による無効を回避できることや、遺言書が公証人役場に保管されるため、偽造改ざんのおそれがないことが挙げられます。

逆にデメリットとして、作成に費用がかかってしまうことや、手続きが厳格で証人2名の立合いを要する(民969条)ことがあります。

遺言書には開封ルールがある

自筆証書遺言の場合

遺言の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なくこれを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければいけません。

遺言書の保管者が無い場合において、相続人が遺言書を発見したときも同様です。(民1004条1項)

家庭裁判所に提出せず、検認を経ないまま遺言を執行した場合、5万円以下の過料が科されます。(民1005条)

なお、法務局において適正に管理・保管することができる自筆証書遺言保管制度を利用すれば、家庭裁判所における検認が不要になりますが、詳細については、こちらの記事では割愛させていただきます。

※自筆証書遺言補完制度を利用すれば検認は不要ですが、遺言の有効性を担保するものではございませんのでご注意ください。

公正証書遺言の場合

上記の規定は、公正証書遺言の場合は適用されず、提出・検認の必要はありません。(民1004条2項)

どうやって遺言の種類を見分ければ良いでしょうか?

このように、公正証書遺言は公証人によって作成されるため、「公正証書」との明確な表記があったり、原本の保管場所である公証役場や公証人の名前が記載されています。

そういった記載が無ければ、自筆証書遺言である可能性が高いです。

実は他にも遺言の種類があります(秘密証書遺言)

秘密証書遺言とは

秘密遺言証書は、遺言者が遺言内容を秘密にした上で遺言書を封じ、封じられたままで公証人により公証される方式の遺言です。(民970条)

公正証書遺言は作成の際に立会う証人2名や公証人がその内容を知ることになりますが、秘密証書遺言だと証人や公証人にさえ秘密にすることが出来、完全な秘密状態を保てます。

秘密証書遺言はほとんど活用されていない

少々古いデータですが、平成22年のデータによると、種類ごとの作成数、検認の受件数は以下のようになっています。

公正証書遺言・・・81,984件(日本公証人連合会統計)
自筆証書遺言・・・13,962件(司法統計)
秘密証書遺言・・・95件  (日本公証人連合会統計)

このように、秘密証書遺言は作成件数が極めて少ないです。

活用されていない理由となる秘密証書遺言のデメリットとしては、以下のことが挙げられます。

・公証人が関与するため手続きが厳格で、証人2名が必要である。(民970条)
・公正証書遺言ほどではないが、費用がかかる。
・家庭裁判所の検認手続が必要である。
・内容については公証人が関与しないため、内容に問題があったときに無効になってしまう可能性がある。

作成のために時間や費用がかかってしまい、手続きが煩雑であるにも関わらず、公正証書遺言と比べて確実さがないためにあまり活用されていないようです。

おわりに

いかがでしたか?この記事では

・ 遺言書の種類について
・ 遺言書の開封ルール
・ 遺言書の種類の見分け方

についてご説明いたしました。

遺言書をみつけてどうしたらいいかわからないときは、お気軽に福岡相続テラスにお問い合わせください。

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