目次
はじめに
相続で多額の財産を受け取ったが、「財産債務調書」を提出しなければならないのだろうか?
昨年不動産を売却したが、「財産債務調書」を提出する必要はあるのだろうか?
とお悩みではございませんか?
今回のコラムでは、「財産債務調書」とは何か?また、どのような方が提出しなければならないのか?等について詳しくご説明いたします。
財産債務調書とは?
財産債務調書とは、一定以上の財産を保有する方が提出しなければならない書類のことで、保有する財産の種類・数量・価額、債務の金額等を記載して提出します。
提出期限:翌年の6月30日まで
提出先:所得税の納税地等の所轄税務署
財産債務調書を提出する必要がある方は?
以下の①②のどちらかに該当する方が対象者です。
①所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、3億円以上の財産または1億円以上の国外転出特例対象財産を有する方
- 「所得金額の合計額2,000万円超」に、退職所得は含まれません。不動産を売却した等で、申告分離課税の所得がある場合は、特別控除後の所得も含まれます。
- 「3億円以上の財産」には、預貯金だけでなく、不動産や動産(美術品や骨とう品等)も含まれます。(12月31日時点の金額で判定)
- 「1億円以上の国外転出特例対象財産」とは、有価証券(株・投資信託)等のことです。(12月31日時点の金額で判定)
②10億円以上の財産を有する方
- 所得が無い方でも、10億円以上の財産(こちらも、預貯金だけでなく、不動産や動産も含みます)を保有している場合、対象となります。(12月31日時点の財産で判定)
財産債務調書を提出することによるメリットと提出しないことによるデメリット
メリット
提出期限内に提出していた場合、財産債務調書に記載している財産や債務について、所得税・相続税の申告漏れがあっても、その財産や債務に係る過少申告加算税または無申告加算税が5%軽減されます。
デメリット
提出期限内に提出していない場合や提出期限内に提出していても記載内容に不備があった場合、その財産や債務について、所得税の申告漏れ(死亡した方に係るものは除く)があったときは、その財産や債務に係る過少申告加算税や無申告加算税が5%加重されます。
相続があった場合の注意点
相続で多額の財産を取得した場合はどうなるのか、見ていきましょう。
相続開始年は、相続した財産を記載しないで提出することができる
相続が開始した年については、相続した財産は記載せず、ご自身の財産の金額のみを記載して提出することができます。
※なお、ご自身の財産のみで提出対象者に該当する場合は、提出が必要です。相続開始年の提出義務がなくなるわけではありませんので、ご注意ください。
相続開始年は、財産の価額の合計額から相続により取得した財産を除外して判定
ご自身の財産の金額だけなら財産債務調書の提出対象者に該当しないけれども、相続した財産も合計すると提出対象者に該当してしまう…といった場合、相続が開始した年については、ご自身の財産の金額だけで判定して構いません。
この場合は、相続開始年の財産債務調書は提出しなくても良いことになります。
不動産等を売却した場合の注意点
不動産等を売却したことにより利益が出て、その年だけ提出対象者になる方もいらっしゃるかと思います。
申告分離課税の所得がある場合は、判定基準の「所得金額の合計額が2,000万円超」に特別控除後の所得も含まれますので、ご注意ください。
おわりに
いかがでしたか?この記事では
- 財産債務調書
についてご説明いたしました。
課税当局は、富裕層の資産状況について常に厳しく目を光らせており、財産債務調書について税務署からお尋ねが届く場合もあります。
財産債務調書の作成にあたって財産評価を要する場合には、専門家に相談することをおすすめします。
相続に関する無料相談を行っていますのでお気軽に福岡相続テラス(税理士法人アーリークロス)にご相談下さい。
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