はじめに
年金には国民年金や企業年金、その他個人年金保険契約に基づく年金など様々な種類の年金があります。
また、海外で働いておられた方が、海外から年金を受給される場合もあります。
年金を受給されていた方が、亡くなられた場合、遺族の方が取得する年金受給権は、相続税の課税対象になるのでしょうか?また、課税対象になる場合は、どのように評価するのでしょうか?
ここでは、年金の種類別に説明していきます。
国民年金・厚生年金
国民年金や厚生年金などの公的年金を受給していた人が亡くなられたときに遺族の方に対して支給される遺族年金は 、相続税の課税対象となりません。
また、亡くなられたときに支給されていなかった年金を遺族の方が支給を受けた場合は、遺族の方の一時所得となり、相続税はかかりません。
企業年金
企業年金とは、会社が退職給付制度の一環として会社の負担で公的年金に上乗せして年金を支給する私的年金のことです。(勤務先の会社によって、制度の有無や内容は異なります。)
亡くなられた方の受給状況によっては、遺族の方が死亡一時金や未支給年金を受け取れる場合があります。
死亡一時金を遺族の方が請求し支給を受けた場合は、相続財産とみなされ、相続税の課税対象となります。
また、在職中に亡くなられて、死亡退職となったため、規約等に基づき遺族の方に退職金として支払われることとなった年金については、亡くなられた方の退職手当金等として相続税の課税対象となります。
(相続人に限り、受け取った死亡退職金等を合計した額が、非課税限度額以下のときは課税されません。非課税限度額=500万円×法定相続人の数)
年金受給中の方が亡くなられたときに支給されていなかった年金を遺族の方が支給を受けた場合は、残りの年金をご遺族の方が受け取ることになるので相続税の対象となります。
個人年金
個人年金とは、生命保険契約や損害保険契約等に基づく私的年金のことです。
個人年金保険の被保険者(年金受取人)が死亡し、遺族の方が個人年金保険の受給権を取得した場合で、亡くなられた方が保険料の負担者であった場合には、取得した年金受給権については、相続により取得したものとみなされて相続税の課税対象となります。
(亡くなられた方および年金受給権の取得者が保険料負担者でない場合には、取得した年金受給権は、保険料を負担していた人から贈与により取得したものとみなされます。)
海外年金
海外の公的年金に加入していた方が死亡し、遺族の方が遺族年金の受給権を取得した場合は、取得した年金受給権は、相続により取得したものとみなされて相続税の課税対象となります。
これは、遺族の方が受け取る海外の公的年金については、所得税は非課税となりますが、相続税法については、所得税法と同様の規定がないためです。
(日本の遺族年金には相続税がかからないのに、海外の遺族年金には相続税がかかるのが不合理との意見もありますが、現行の税法では課税対象となります。)
年金受給権の評価方法
年金受給権が相続税の課税対象となるときの価額の評価は、「定期金に関する権利」として評価します。
「定期金に関する権利」の価額は、次に掲げる金額のうちいずれか多い金額となります。
・ 解約返戻金の金額
・ 一時金の給付を受けることができる場合には一時金の金額
・ 給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額を基に一定の方法で計算した金額
おわりに
いかがでしたか?
この記事では、「相続税の課税対象になる年金受給権」についてご説明いたしました。
年金には、様々な種類があるため、受給者がお亡くなりになられた場合は、その種類によって、請求先や課税関係も異なります。
ご自身やご家族の加入されている年金について整理されることをおすすめします。
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