目次
はじめに
相続税には、配偶者の税額軽減などの相続税の計算上、税額から控除できるものがあります。
「配偶者の税額軽減」は有名ですが、相続人が未成年者や障害者である場合にも相続税が軽減されるのはご存知でしょうか。
この記事では、「未成年者控除」と「障害者控除」についてご案内いたします。
未成年者控除とは
未成年者とは20歳未満の人をいいますが、民法改正により2022年4月1日からは18歳未満となります。
未成年者が成長して自立するまでには相当の養育費を要するため、相続した財産からその養育費は負担されるべきものと認められ、この未成年者控除の制度は設けられました。
この未成年者控除により、相続人の中に未成年者がいる場合にはその未成年者の相続税額から一定額を控除することができます。
未成年者控除の要件
- ①相続開始日に未成年者であること
- ②相続又は遺贈により財産を取得したこと
- ③法定相続人であること(相続放棄があった場合にはその放棄がなかったものとした場合の相続人)
- ④相続開始日に日本国内に住所があること(一定の者を除く)
未成年者控除の計算方法
- (20歳※1-相続開始日の未成年者の年齢※2)×10万円
- ※1 民法改正により未成年者の年齢が18歳に引き下げられるため、2022年4月1日以降の相続案件より、18歳で判定します。
- ※2 1年未満切捨
障害者控除
障害者控除の制度は、両親等が亡くなったあとの障害者の生活を保障することや、健常者に比べ障害者の療養費や医療費の負担が大きいという事情に考慮するために創設されました。
障害者控除を受けるための要件
- ①法定相続人であること
- ②相続又は遺贈により財産を取得したこと
- ③相続開始日に日本国内に住所があること
- ④相続開始日に障害者であること
障害者の範囲
相続税法では次のように定められています。
- 障害者控除の適用対象となる障害者は、心神喪失の常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定める者とされ、そのうち控除額が割増しとなる特別障害者とは、障害者のうち精神又は身体に重度の障害がある者で政令に定めるものをいうとされる(相法19の4②)。
詳しくは障害者の規定(国税庁)をご確認ください。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/08.htm#a-19_4_1
障害者控除の計算方法
- 障害者控除の額=(85歳ー相続開始日の障害者の年齢)※×10万円(特別障害者は20万円)
- ※端数があるときは切り上げることができます。
添付書類
身体障害者手帳のコピーなど、相続開始日において障害者であったことを証明する書類を申告書に添付します。
相続税額より控除額の方が大きい場合は?
未成年者控除・障害者控除の枠を使いきれない場合には該当者の扶養義務者の相続税額から控除することができます。
扶養義務者とは、配偶者、祖父母・父母・子・孫及び兄弟姉妹、3親等内の親族で家庭裁判所が扶養義務を負わせた者をいいます。
所得税の「扶養親族に該当する人の範囲」とは異なるので注意しましょう。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm
注意点
・法定相続人でない未成年者や障害者の方が遺言によって相続財産を取得した場合は、この控除は使えないので注意が必要です。
・過去に未成年者控除や障害者控除を使用した場合には、次の相続税申告で適用できる控除額に制限がかかります。
・この未成年者控除や障害者控除には申告による適用要件が付されていないため、控除して税額が出ない場合には申告は不要です。
おわりに
いかがでしたか。
この記事では、未成年者控除と障害者控除についてまとめました。
大きな税額控除なので対象の方は忘れずに適用しましょう。
相続税申告書を作成するには様々な専門的知識が必要ですので、申告内容にご不安な方は相続専門の税理士にご相談することをお勧めいたします。
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