2020.04.15

相続税申告までのスケジュール

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

相続開始後の手続きについて期限があるのはご存知でしょうか?

例えば、死亡後7日以内でしたら死亡届出の提出、3ヶ月以内には相続放棄、限定承認の手続きなどなど。

今回の記事では税金面からみた様々な手続きのスケジュールについて解説していきます。

相続税申告までのスケジュール

確定申告期限は4ヶ月以内

故人がアパート経営で不動産所得があった場合や会社オーナーで年金以外に給与を会社から支給されていた場合などは生前に確定申告をされていたと思います。

通常であれば確定申告は毎年3月15日までにすることが決まりとなっています。

では、確定申告をしなければならない人に相続が起こってしまった場合はいつまでに確定申告をしなければならないのでしょうか?

答えは相続があったことを知った日から4ヶ月以内です。

しかし、四十九日が終わった時点で約2ヶ月たっていることになるので、期限は意外と短いと感じられるかと思います。

ちなみにこの故人の確定申告は確定申告に準ずるものとして「準確定申告」と呼びます。

相続税申告の期限は10ヶ月以内

4ヶ月以内に準確定申告が終わった後は相続税の申告期限がやってきます。

期限は相続があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内と結構長めにとられているのも特徴的です。

例えば、1月15日にお亡くなりになった場合は11月15日が申告期限となってきます。

しかし、申告期限が10ヶ月以内だからと言って悠長に構えていると申告期限間際でバタバタとする可能性が高いです。

なぜなら、次で説明するように相続税の申告には様々な必要書類を集める必要があるからです。

必要書類の収集と遺産分割

相続財産の把握

相続税申告にあたってまずしなければいけないのが、故人の相続財産を把握することです。

そもそも相続財産にはプラスの財産とマイナスの財産があります。

簡単に言うとプラスの財産は預貯金、不動産、株式などの有価証券などが挙げられます。

一方、マイナスの財産とは借金、アパート経営をしている方ならば預かり敷金などです。

故人の相続財産を相続人の方がすべて把握していれば問題ないですが、そのようなケースは稀です。

上記のような相続財産を把握するにも役所に行ったり預貯金の資金の移動をみてどのような相続財産があるのかを把握する必要があります。

実際これをやってみると予想以上に時間がかかりますので早めに取り掛かられることをおすすめします。

※弊社でも資料収集の代行を行っていますので、お問い合わせ下さい。

相続税申告に必要な書類の収集

相続財産の把握が終わったら次に必要書類の収集です。

こちらは財産の評価に必要な書類や相続人確定のための戸籍などの書類を集めることになります。

詳しくは別の記事で解説しますが、一部だけ載せておきます。

財産の評価

相続税申告に必要な書類の収集が終わったらその書類をもとに財産の評価を行っていきます。

預貯金と有価証券などは残高証明書などをもとに評価していきますが、不動産の評価については非常に専門的になるので詳しくは別な記事に譲るとします。

遺産の分割

財産の評価が終わったら財産の分け方にについて話し合いが必要となってきます。

故人が遺言を作成していてそのとおりに財産を分けるのであれば特に話し合いは必要ありませんが、遺言がない場合は相続人全員で誰に何をいくら分わけるかを話し合わなければなりません。

このことを遺産分割協議といいます。

このタイミングで予期せぬ争いごとが起こる可能性が高いので、客観的な意見をもった専門家同席の上で話し合うことをおすすめします。

申告期限を守らなかった場合

相続税申告の期限は10ヶ月以内と述べてきましたが、仮にその期限を過ぎてしまった場合はどのようなペナルティがあるのでしょうか?

配偶者控除の特例と小規模宅地の特例の適用の可否

相続税の計算にあたって特にインパクトのある特例といえば「配偶者控除の特例」「小規模宅地等の特例」があります。

  1. 配偶者控除の特例:配偶者が1億6千万円以下または法定相続分以下だけ取得すると配偶者には相続税がかからない
  2. 小規模宅地等の特例:例えば自宅を同居している相続人が引き継いだときに100坪までは土地の金額を80%圧縮できる

このような特例は絶対的な要件として申告期限内に相続税の申告が必要となってきます。

しかし、申告期限内に遺産分割がまとまらないといったこともよくあることです。

そのようなときは申告期限内に申告をするとともに「3年以内分割見込書」というものを一緒に税務署に提出すれば、申告期限を過ぎても後々特例を使うことができますので申告と同時に提出することを忘れないようにしてください。

厳密にいうと小規模宅地等の特例は期限を過ぎてしまった申告でも適用は可能です。詳しくはまた別の記事解説したいと思います。

申告期限を守らなかった場合のペナルティ

申告期限を過ぎて申告書を提出すると、下記のようなペナルティが課されることになります。

  1. 利息的な意味合いの「延滞税」
  2. 罰金的な意味合いの「無申告加算税」「重加算税」

延滞税

延滞税は時間の経過に応じてかかってくる金額が変わってきます。

納付すべき税額に対して下記の利率で計算した金額を納めることになります。

  • 納付期限から2か月以内は延滞税の税率→年利2.8%
  • 納付期限から2か月経過すると延滞税の税率→年利9.1%

無申告加算税

無申告加算税は、自主的に申告した場合は納付した税金の5%を、税務調査で指摘された後に申告した場合15%を追加で納める必要があります。

重加算税

財産を隠したり、虚偽の申告をした場合は追加で35%もの税額を支払うことになります。

まとめ

いかがでしょうか?

相続が開始した後は様々な期限が迫ってきます。

本記事は相続税申告までの期限にまつわるもの記載してきましたが、まとめると下記のようになります。

1.故人の確定申告の期限は4ヶ月以内

2.相続税申告の期限は10ヶ月以内

3.申告期限内に財産把握や必要書類の収集遺産分割協議などをしなければならないため、

4.申告期限をすぎると延滞税無申告加算税重加算税がかかる可能性がある

10ヶ月以内というのは長いようで短いというのが現場の感覚です。

申告期限を意識しながら資料の収集など早め早めを心がけましょう。

福岡相続テラス(税理士法人アーリークロス)では相続に関する無料相談を行っておりますので、お気軽にご連絡ください。

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