目次
はじめに
相続税はお亡くなりになった方全員にかかってくるものなのでしょうか?
そしてその遺族は全員相続税の申告を行わなければならないのでしょうか?
この記事で紹介する、相続税の申告書を提出する義務がある人について理解すれば、その悩みを解決することができます。
なぜなら、相続税の基礎控除よりも、相続財産の総額が下回れば、原則は相続税の申告書を提出しなくて良くなるからです。
この記事では、相続税の基礎控除の計算について詳しく解説していきます。
この記事を読み終えると、相続税の申告書の提出義務の有無を判断することができるようになります。
相続税の基礎控除とは
基礎控除は、要件なく誰でも使える控除制度です。
計算式はシンプルです。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
法定相続人の数には、明確な定義がありますので、後ほど解説いたします。
基礎控除を下回れば、申告書を提出しなくてよいの?
財産総額が基礎控除を下回れば、原則として申告書を提出する必要はありません。
ただし、例外があります。
下記の方は、基礎控除を下回っていたとしても、相続税申告書を提出する義務があります。
- 相続税が課税されそうだったので、自分の配偶者や子・孫名義の預金へお金を移しておいた(税務調査では確実に見つかります。虚偽の申告には多額のペナルティが課されます)
- 配偶者が長年の「へそくり」を自分名義の口座へ溜め込んでおり、これを加算すると基礎控除を上回った(稀にあります)。
- 財産総額は基礎控除を上回っているが、小規模宅地等の特例をうけた結果、基礎控除を下回った。
法定相続人の数
法定相続人の数は、相続税法第15条に定められています。
基本的には、民法に定める相続人です。
ただし、気をつけなければいけないのが、以下の2点です。
- 相続放棄があったときは、その放棄がなかったとしたときの相続人で数えます。
- 養子の数にも算入制限があります。
この2点があることで、基礎控除の金額をコントロールさせる余地を減らされています。
特に、養子の数の算入制限は、相続対策として養子縁組をたくさんしておけば相続税の基礎控除が圧倒的に多額となり、相続税が無税になるという脱税行為を防ぐものです。
法定相続人の数に含められる養子の数 | |
実子がいる場合 | 1人まで |
実子がいない場合 | 2人まで |
養子の算入制限がかからない養子縁組とは?
- いわゆる配偶者の「連れ子」との養子縁組
- 孫の親(つまり子)が亡くなり、代襲相続人となった孫との養子縁組
- 特別養子縁組
これらの養子縁組は、租税回避目的とは明らかに判断できない、実子の場合と同様に扱うべきと解されています。
相続税の大改正(平成27年改正)
平成27年1月1日以降、相続税の基礎控除が40%も減少しました。
現在 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
改正以前 5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数
これにより、相続税が課税される人が、日本国内で相当数増加しました。
直近の全国統計値によると、国内死亡者全体の8.3%に相続税申告義務があり、相続された財産のうち、何割かを相続税を納めなければいけないのですが、その単純平均値は12.9%となっています※中央値ではありません
こういった改正は過去にも行われていますので、今後もこういった改正については動向を見守る必要があります。
おわりに
本記事では、相続税の申告書の提出義務がある人についてご説明いたしました。
ご自身の相続対策をされる場合には、まず基礎控除を確認しましょう。
そして、基礎控除を超える財産をお持ちの方は、生前に対策を練ることで、相続税申告書を提出しなくても良くなる可能性があります。そのことにより、次世代の財産承継がよりスムーズになります。
福岡相続テラス(税理士法人アーリークロス)では相続に関する無料相談を行っておりますので、お気軽にご連絡ください。
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