2023.07.27

相続人の代表の選び方と、代表相続人になった場合にするべきこと

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

相続手続きや、生前対策を検討している最中に、「代表相続人」という項目が出てきた経験はありませんか?

代表相続人とは端的に言えば、複数の相続人との調整を行い、様々な相続手続きを代表して進めていく方のことを指します。

ですが、急に複数の相続人の中から代表者を一人選べと言われたら戸惑ってしまいますよね。

この記事では、代表相続人の選び方と、代表になった場合にするべきことについて解説します。

代表相続人の選び方

代表相続人を選ぶ際には、以下のポイントを考慮しましょう。

責任感と、各相続人への連絡の取りやすさ

複数の相続人がいる場合、各相続人と円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。

遺産分割や手続きを責任を持って進められる人を選びましょう。

被相続人との続柄、年齢や性別は関係ありません

被相続人の配偶者・長子が必ずしも代表になる必要はなく、年齢や性別も相続人代表者には関係ありません。

手続きが多いため、日中動きやすい方が代表になることもあります。

また、これより紹介する相続手続きを、ただ1人の代表相続人が行うのではなく、各手続きで代表をそれぞれ決めても問題ありません。

代表相続人のするべきこと

相続の手続きと一言にいうと、資料の収集から各申告や、名義の変更まで多岐にわたります。

一連の手続きについては、こちらの記事でご紹介しておりますので、ぜひこちらもご確認ください。

▼相続手続きとは?相続開始後に行わなければならない様々な手続きのご紹介
https://www.earlycross.co.jp/souzoku/souzoku-variousprocess/

様々ある手続きの中でも、代表相続人になった場合、次の手続きの中で、相続人の代表者としての役割があります。

固定資産税の納税管理

被相続人所有の不動産について、自治体から届く固定資産税の通知書や納税など、固定資産税に関する手続きを代表相続人が担当します。

手順
① 被相続人所有の不動産のある自治体のウェブサイトより「相続人代表者指定届」ダウンロード
② 内容を記載して窓口及び郵送での提出
③ 通知書の受け取り、納税(税金を負担する方は、必ずしも代表者である必要はありません)

ポイント
・この代表になったからといって不動産の名義、また抵当などの負債まで、代表に移るということはありません。
・自治体によっては届の名称が「相続人代表者指定届」ではない場合があります。

遺産分割協議書の作成

各相続人と連絡を取り、全ての相続人が納得して、遺産を相続する為にどのように遺産を分けるか協議し、その内容を書面にまとめたものを作成します。

この遺産分割協議書は、不動産の相続登記の必要資料、相続税申告の必要資料になる重要書類です。

大枠の手順
① 被相続人の財産の内容を把握する
② 各相続人が、どのように財産を分けるか話し合い書面にまとめる
③ 各相続人が、書面に署名捺印をする

ポイント
・不動産登記の為に、登記謄本の内容の通りの記載が必要です。
・被相続人・相続人の情報は正確に記載をする必要があります。
・協議書の書き方を、実際の相続する状況と同様にしなければ、贈与税の対象になってしまうなどの、危険があります。

準確定申告の下準備

相続開始までに、被相続人の所得があり確定申告が必要な場合は、相続人が準確定申告を行う必要があります。

準確定申告は相続開始から、4カ月以内に申告と納税をしなければなりません。

被相続人にかかる税務申告は各相続人に義務が引き継がれますが、相続実務では多くの場合、効率を考えて相続人がそれぞれ対応するのではなく共同して対応することが多いです。

そのため、相続人様の中から代表して1名が税務申告の実作業に動いているケースが多いです。

通常の確定申告と同様に、被相続人の所得や、控除対象になる資料をそろえて申告をします。

大枠の手順
① 被相続人に準確定申告が必要かを確認する
② 被相続人の所得と、控除に係る資料を収集
③ 税務署への準確定申告書の提出と納税

ポイント
・被相続人の住所を管轄する税務署に提出します
・ここで発生する所得税は本来、被相続人が支払うべきものの為、相続財産における債務として控除することができます。

相続税申告

被相続人の財産を相続するにあたり、財産総額が基礎控除を超えた場合は相続税申告が必要です。

相続税申告は相続開始から、10カ月以内に申告と納税をしなければなりません。

この手続きも各相続人がそれぞれ申告書の提出義務を負います。

よって、各相続人がそれぞれ申告書を作成し提出しなければいけません(原則)。

しかし、相続実務においては資料の収集や分析、計算をそれぞれ行うのは極めて非効率的です。

そのため、例外として同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者であり、かつ、申告書の提出先の税務署長が同一であるときは、共同して1つの相続税申告書を提出することができる(相続税法27条⑤)と定めてあり、ほとんどの相続税申告はこの規定による共同提出が行われています。

1つの申告書を作り上げれば良いため、相続人の中から代表者を選び、資料収集等を対応しているケースが多いです。

大枠の手順
① 相続税の申告が必要かを確認する
② 被相続人の財産を評価
③ 遺言書または遺産分割協議書をもとに申告書を作成
④ 税務署へ相続税申告書の提出と納税

ポイント
・財産の中に、不動産や非上場の株式などがある場合は、相続税評価が複雑になります。
・要件を満たしていれば、財産評価の減額を期待できる特例などがあります。

代表相続人の負担を減らすためには

代表相続人の作業は、手続きが多くまた内容も複雑なものが多いです。

まず、お仕事や家事育児をしながら相続手続きを行う方は、平日の日中にしか取得のできない資料の収集で一日が終わってしまう…ということも珍しくありません。

相続に関する各手続きについては、次のような専門家への相談、依頼をすることで円滑に進めることができます。多くのケースでは、税理士がメインのサポート役となり、司法書士や弁護士に一部業務を橋渡しをすることが多いです。

税理士: 税金の申告手続きは税理士のみが代理手続きが可能です。また、税理士は税金のみならずお金に関するプロですので、次回の相続税を踏まえた財産取得方法の検討や相続税の生前対策などの検討が可能です。

司法書士: 不動産の登記手続きの代理が可能です。

弁護士: 相続人間で争いが生じた場合には、弁護士に相談することで適切な解決策を見つけることができます。

おわりに

代表相続人の選び方、代表相続人のすべきことについてご紹介しました。

相続は、相続人全員に関係する話ではありますが、代表となった方が取りまとめて手続きを進める負担は、決して軽いものではありません。

弊社は相続業務をワンストップで包括的にサポートしております。

相続に関することは、お気軽に福岡相続テラスへお気軽にご相談下さい。

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