目次
はじめに
相続税は亡くなった方の金銭的価値のある全ての財産に対して課税されます。
みなさんが財産と聞いてすぐに思いつくのは不動産・預貯金・有価証券かと思いいます。
しかし、家庭用財産や骨董品等の一般動産やその他の財産も相続財産である事は、あまり知られてないのではないでしょうか。
では、一般動産やその他の財産はどの様に評価するのでしょうか?
これらは多岐にわたり、評価方法もそれぞれ異なります。
この記事では、一般動産やその他の財産評価についてご紹介いたします。
また、非課税となる財産についてもご説明いたしますので、ご参考下さい。
この記事を読み終えると、相続税申告書を自身で作成する際に、遺産の中に、一般動産やその他の財産がある場合にどのように評価するかをご判断いただけるようになります。
動産とは?
財産評価における動産とは、民法の規定を受けており、原則として不動産以外のものを指します。(民法86②)
相続財産の価額は課税時期現在の時価で評価します。(相続税法第22条)
しかし、時価とはいくらなのか。
また、どのように時価を評価するのか疑問に思われるでしょう。
そこで、財産の評価の取り扱いとして「財産評価基本通達」が国税庁より公表されています。
財産評価基本通達では、動産の評価について次の5つに区分しています。
- 1.一般動産
- 2.たな卸商品等
- 3.牛馬等
- 4.書画骨とう品
- 5.船舶
また、一般動産は「暖房装置、冷房装置、昇降設備、電気設備、給排水設備、消火設備、浴槽設備等建物附属設備と、上記2~5を除いた動産のことです。
動産の評価単位
一般動産は原則として、1個または1組ごとに評価します。
しかし、家庭用動産、農耕用動産、旅館用動産等で、1個または1組の価額が5万円以下のものについては、それぞれ一括して一世帯、一農家、一旅館ごとに評価できることとなっています。
一般動産の評価は、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価します。
売買実例価額や精通者意見価格等が不明の場合は、その動産の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする)の償却費の額の合計額、または原価の額を控除した金額によって評価します。
この場合の耐用年数は下記をご参考下さい。
また、償却方法は定率法となります。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/01.htm(国税庁HP)
一般動産の評価具体例
1.金地金
金地金は投資資産として昔から人気があります。
金地金は流通性があり、市場価額が毎日発表されています。
評価額は、金取引市場の課税時期の終値(買相場)で評価するのが適切です。
また、貴金属や宝飾品は、貴金属の買取業者へ価格の査定を依頼するのが実務的です。
2.牛馬等
財産評価基本通達でいう牛馬等とは、牛、馬、犬、鳥、魚等のことを指します。
鳥類には鶏、あひる等の家きん類、魚類には鯉、ウナギ等養魚類があり、販売を目的としているものをいいます。
販売業者が販売の目的を持って有する牛馬等の価額は、財産評価通達133「たな卸商品等の評価」の定めによって評価します。
「販売価格-(利益+経費+消費税)」
それ以外のものについては、牛馬等取引市場等の売買実例価額や家畜商等、またその家畜等に精通した者の意見価格等を参酌して評価します。
3.書画骨とう品
書画骨とう品も上記2と同じく、販売業者が有するものとそれ以外とで評価方法が異なります。
ただし、書画骨とう品は個別性が非常に強く、同種同資産の売買実例がありません。
相続開始後に処分した場合はその価額を参考にできますが、そうでない場合は、その分野の専門家に評価依頼をしましょう。(評価依頼には相応の費用がかかる場合があります。)
4.自家用車
自家用車の売買実例価額については、近年ではインターネットで簡単に知ることができます。
年式や色、走行距離等から、より詳しく買取価格を表示してくれるサイトもありますので、そちらを参考にします。
ここで気をつけるのは、販売価格ではなく、買取価格を参考にする事です。
販売価格には業者の利益等が含まれるので、買取価格よりも高い評価額となってしまいます。
また、買取業者に実際の自家用車を査定してもらい、買取価格の見積もり額を評価額としても差し支えありません。
その他の財産とは
相続税法基本通達において、相続財産とは「経済的価値のあるすべてのものをいう」(相基通11の2-1)となっていますが、前項までに記載した動産に区分されない経済的価値のあるものを、その他の財産として評価します。
その他の財産についても、財産評価基本通達に則って評価していきます。
その他の財産の評価具体例
1.ゴルフ会員権
ゴルフ会員権には取引相場の有無があります。
取引相場のあるゴルフ会員権は課税時期における取引価格の70%に相当する金額によって評価します。
有名なゴルフ場であれば、インターネットで取引相場を調べることができます。
また、預託金があるものは課税時期に返還をうけることができる金額を取引価格の70%にプラスします。
取引相場のないゴルフ会員権については、会員となる条件として株主であるか否かで評価方法が異なります。
- 1-1.株主が条件であるもの
- 課税時期におけるその株式の評価額
- 1-2.株主が条件であり預託金等のあるもの
- 課税時期におけるその株式の評価額+規約等に基づいて返還される金額
- 1-3.株主の条件がないもの
- 評価しない(ただし、譲渡ができず、単にプレーができるだけのもの)
- 1-4.株主の条件はないが預託金等のあるもの
- 規約等に基づいて返還される金額
2.生命保険契約に関する権利
まだ保険事故が発生していない生命保険契約であっても、被相続人が契約をし、保険料を支払っていた契約の権利は相続財産となります。
生命保険契約権利の価額は、課税時期においてその契約を解約するとした場合に支払われる解約返戻金の額によって評価します。
解約返戻金のない保険(掛捨ての保険)については、評価しなくていいことになっています。
また、貸付金があるときは、貸付金の額を債務控除します。
非課税となる動産
1.祭祀財産
仏壇、墓碑や神棚等の祭祀財産は相続税の対象となりません。
ですので、相続対策として生前にお墓を購入し、課税対象となる現金を減らす方法もあります。
ただし、祭祀財産であっても、骨とう品や投資目的等で所有している場合は非課税となりません。
2.国に寄付した動産
相続税の申告期限までに寄付した財産については相続財産に含まないとする特例措置が設けられています。
寄付の相手は、国や地方公共団体、公益を目的とする事業を行う特定の法人または認定非営利活動法人(認定NPO法人)です。
※認定NPO法人に対する寄付の場合は、その法人が行う特定非営利活動に係る事業に関連するものでなければなりません。
おわりに
いかがでしたか?
この記事では、相続財産として課税される一般動産、その他財産また、非課税財産についてご紹介しました。
これらは種類が多岐にわたる為、一つ一つの評価額が小さくとも、全てをまとめると数百万単位となる場合もありますので、注意が必要です。
また、今回ご紹介した具体的な一般動産、その他財産、非課税財産の評価については、簡易的にまとめています。
実際の評価では、様々な視点から評価方法を検討する必要があり、財産評価は専門知識が必要となります。
福岡相続テラス(税理士法人アーリークロス)では、1時間の無料相談を行っておりますので、ご心配がある方はお気軽にご相談下さい。
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