目次
はじめに
遺言により財産を特定の相続人だけに残したい方もいらっしゃるかと思います。
しかし、遺言で財産を残す場合には遺留分について気を付けなればなりません。
なぜなら、兄弟姉妹相続人以外の相続人については財産を最低限もらえる遺留分制度が存在するからです。
この記事では
・特定の相続人に多くの財産を残したい
・遺留分侵害しないようにするためには?
という疑問をお持ちの方に解説していきたいと思います。
遺留分とは?
遺言を作成するときの注意点の一つに相続人に対する遺留分があります。
遺留分とは、平たく言うと相続人が最低限受け取れる権利のことを言います。
この遺留分は配偶者、直系卑属、直系尊属のみに認められていて被相続人の兄弟姉妹にはありません。
詳しくは下記の記事をご参照ください。
遺留分の制度の概要/2022.09.22 税理士法人アーリークロス
相続税法上のみなし相続財産は遺留分算定財産になるのか?
民法上の財産
民法では、被相続人の財産を下記のような算式により算出した金額を民法上の財産とみなしています。
被相続人の財産=残された財産+特別受益(民法903条)ー寄与分(民法904条の2)
相続税法上のみなし相続財産
相続税法では、課税の公平の見地から民法上の財産ではないものの相続税法上の財産とみなして相続税が課すこととしています(相法3)。
代表的なものを示すと下記のような財産です。
- 生命保険金等
- 退職手当金等
- 生命保険契約に関する権利
遺留分の算定基礎財産
結論から言うと、相続税法上のみなし相続財産は遺留分の計算の対象外となります。
従いまして、たとえば現金として持っていたものでも生命保険金などに変換してしまえば遺留分の計算対象から外れることになります。
生命保険金等による遺留分対策
遺留分対策の内容
被相続人が死亡したことにより相続人が受け取る生命保険金は、被相続人が保険料を負担した部分については相続人固有の財産となります。
つまり、民法上では被相続人の財産ではなく相続人の財産となります。
よって、遺留分の算定基礎財産から除かれることで遺留分対策ができるということになります。
全財産を生命保険に変えてもいいのか?
確かに相続人が受け取る死亡保険金は遺留分の対象外となり遺留分対策の一助となります。
しかし、遺留分を侵害することを知って全部の財産を生命保険金に変えることには制限が入ります。
こちらは有名な最高裁判決(平成16年10月29日決定)があります。
こちらによると
となっており、この特段の事情というものが
- 保険金額
- 保険金の遺産の総額に対する比率
- 同居の有無
- 介護などの貢献度合い
などの事情を総合勘案して判断することになっています。
生命保険契約に関する権利による遺留分対策
生命保険契約に関する権利とは、相続開始時において、まだ保険事故の発生していない生命保険契約で被相続人が保険料を負担し、かつ、被相続人以外の者が契約者であるものです(相法3条③)。
こちらについても民法上の財産とはならず、あくまで相続税法上で財産として擬制しているものになりますので遺留分算定財産の対象外となります。
例えば、遺留分対策を行いたい方が高齢の方で保険加入できなくても、その相続人が契約者となることで被相続人に保険料を負担してもらえば民法上の相続財産から除かれることになります。
※保険法では契約者と保険料負担者は一致させないといけないとなっていますが、実務ではこのようなことが可能となっています(保険法2条③)。
おわりに
いかがでしたか?この記事では
・ 生命保険金等を活用した遺留分対策
・ 生命保険契約に関する権利を活用した遺留分対策
についてご説明いたしました。
遺留分対策に関することは、お気軽に福岡相続テラス(税理士法人アーリークロス)にお問い合わせください。
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