目次
はじめに
被相続人の事業を引き継いだけれど、所得税の申告はどのようにしたら良いのかと悩んでいませんか?
このコラムでは、事業承継年の被相続人と相続人の所得税の計算において留意すべき点を紹介します。
被相続人の所得税の計算
被相続人の死亡年の確定申告(準確定申告)は、その年1月1日から死亡日までの期間を基礎に、相続人が相続の開始を知った日の翌日から4月以内に行います。その際、以下の点にご注意ください。
売上原価
次の金額を必要経費に計上します。
年初棚卸高+当期仕入高-死亡時棚卸高(被相続人が選定した評価方法)=売上原価
減価償却費
⑴通常の減価償却資産
年償却額を月数按分し死亡年分の必要経費に計上します。
⑵一括償却資産
以下の①②のどちらかを必要経費に計上します。
①未償却残額の全額
②取得価額の1/3の金額(事業承継者(相続人)がある場合は一括償却を継続できます)
貸倒引当金
⑴個別評価貸金等貸倒引当金
事業承継者がある場合には、死亡年に繰入可能です。
⑵一括評価貸金貸倒引当金
青色申告者である事業承継者がある場合には、死亡年に繰入可能です。
相続人の所得税の計算
事業を承継した年の事業承継者の確定申告書は、通常の確定申告と同様、事業承継年の翌年2月16日から3月15日までに提出します。その際、以下の点にご注意ください。
青色申告承認申請書の提出期限
⑴相続人が以前から業務を行っている場合
その年3月15日
⑵1月16日以後新規業務開始の場合
①被相続人が白色申告者→業務開始から2月以内
②被相続人が青色申告者→準確定申告書の提出期限まで(自動承認の日が早い場合は自動承認の日)※
※被相続人の死亡日が次のいずれかによって、具体的には以下のようになります。
1月1日~8月31日:相続の開始を知った日の翌日から4月以内
9月1日~10月31日:その年12月31日まで
11月1日~12月31日:翌年2月15日まで
売上原価
次の金額を必要経費に計上します。
承継棚卸高(被相続人が選定した評価方法)+当年仕入高-年末棚卸高(相続人が選定した評価方法)=売上原価
減価償却費
被相続人の取得価額、減価償却累計額等を引き継ぎ、減価償却方法は相続人が選定した償却方法により計算し必要経費に計上します。
平成19年4月1日以後取得資産は、新償却方法によります。
一括償却資産で被相続人が一括償却を継続した場合は、相続人は翌年以後一括償却を継続します。
繰延資産は支出の効果が継続されるものであれば引き継ぎます。
貸倒引当金
被相続人が死亡年で必要経費に計上した貸倒引当金の金額は、事業承継者の引き継いだ年分の総収入金額に算入します。
相続による登記費用
業務用固定資産の相続による登記費用は必要経費に算入します。
非業務用固定資産に係るものは取得価額とされます。
遺産分割協議が確定していない場合
遺産分割が確定するまでは相続財産から生ずる所得は、法定相続分に応じて課税されます。
消費税
免税事業者である事業承継者が相続により被相続人の事業を承継した場合には、事業承継者の納税義務は次のようになります。
⑴相続があった年
①相続があった年の基準期間における被相続人の課税売上高が1,000万円を超える場合は、相続があった日の翌日からその年の12月31日までの間の納税義務は免除されません。
②相続があった年の基準期間における被相続人の課税売上高が1,000万円以下である場合は、相続があった年の納税義務が免除されます。ただし、この場合であっても、相続人が課税事業者を選択しているときは納税義務は免除されません。
⑵相続があった年の翌年または翌々年
①相続があった年の翌年または翌々年の基準期間における被相続人の課税売上高と相続人の課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合は、相続があった年の翌年または翌々年の納税義務は免除されません。
②相続があった年の翌年または翌々年の基準期間における被相続人の課税売上高と相続人の課税売上高との合計額が1,000万円以下である場合は、相続があった年の翌年または翌々年の納税義務が免除されます。ただし、この場合であっても、相続人が課税事業者を選択しているときは納税義務は免除されません。
おわりに
いかがでしたか?この記事では事業承継に伴う被相続人と相続人の所得税の計算についてご説明いたしました。
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