2022.11.21

準確定申告で純損失の金額が発生したら、確定申告は不要?

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

準確定申告で純損失の金額が発生したら、申告はしなくていい?
この純損失の金額は、相続人が引き継げる?
と疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、そのようなときの留意点をご説明いたします。

準確定申告とは?

所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得を計算し、その所得金額に対する税額を翌年の2月16日から3月15日までの間に申告、納税をすることになっています。

年の中途で死亡した人(被相続人といいます)の場合、相続人が、被相続人の死亡年の1月1日から死亡日までに確定した所得金額および税額を計算して、死亡日から4か月以内に申告、納税をすることになります。これを準確定申告といいます。

純損失の金額とは?

事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得の4つの所得の損失の金額のうち、損益通算をしてもなお控除しきれない金額をいいます。損益通算とは、簡単にはその4つの所得の損失の金額(赤字)を他の所得の金額(黒字)と相殺することです。

純損失の金額は相続人が引き継げる?

引き継ぐことはできません。

死亡年に純損失の金額発生…申告は不要?

申告しなくても差し支えはありません。
しかし、純損失の繰戻し還付を受けられないか、ご確認ください。
過去に被相続人が支払った所得税が返金されるかもしれません。

純損失の繰戻し還付とは?

概要

青色申告者である被相続人の死亡年に発生した純損失の金額を前年の課税所得金額と相殺し、前年に既に納付した所得税の還付を受けることができる制度です。
前年に青色申告書の提出、死亡年分も青色申告書を申告期限までに提出する必要があります。

還付金額

死亡年分の純損失の繰戻し還付による還付金額は、以下の①-②の金額です。
 ①前年分の所得税額
 ②(前年分の所得金額-純損失の金額)×前年分の税率=所得税額

おわりに

被相続人の純損失の金額は、相続人は引き継ぐことはできません。
被相続人の所得金額を計算した結果、赤字であっても安易に申告不要とせず、これまでに被相続人が支払った所得税が返金されるかもしれませんので、被相続人のこれまでの申告内容を確認しましょう。
また、死亡年に純損失の金額がない場合であっても、前年に純損失の金額があれば前年分の純損失の繰戻し還付を受けることができる場合もあります。


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