2022.09.22

遺留分の制度の概要

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

遺言を作成するときの注意点の一つに相続人に対する遺留分があります。
遺留分とは、平たく言うと相続人が最低限受け取れる権利のことを言います。
この遺留分は配偶者、直系卑属、直系尊属のみに認められていて被相続人の兄弟姉妹にはありません。

しかし、その遺留分の具体的な計算方法についてはあまり知られていないことが多いことかと思います。

この記事では遺留分制度の概要を踏まえて具体的な計算方法について解説したいと思います。

遺留分の権利者

遺留分権利者となる相続人

遺留分はどの相続人対しても認めれるものではありません。
遺留分の権利者は「兄弟姉妹以外の相続人」となります。
具体的には配偶者、子、直系尊属が遺留分権利者となります。
なお、子の代襲相続人も同様に遺留分の権利者となります。

包括受遺者

例えば、遺言により相続人以外に対して「財産の2分の1を遺贈する」と記載したとします。
そうするとその包括受遺者は相続人と同じ権利を有することになります(民法990条)。
しかし、遺留分の権利者は上記のとおり兄弟以外の相続人に限られていますので遺留分は有しないこととなります。

遺留分の割合

総体的遺留分の割合

遺留分の計算上、まず遺留分権利者全体に遺留分の割合が割り当てられます(民法1042条①)。
これを総体的遺留分と言います。
この総体的遺留分の割合は、相続人のうち兄弟姉妹には遺留分はなく、直系尊属のみが相続人である場合には3分の1、それ以外には2分の1となっています。

個別的遺留分の割合

個別的遺留分とは、各相続人に認められる具体的な遺留分のことを言います。
相続人が2人以上いる場合には、上記の総体的遺留分の割合に各相続人の法定相続分を乗じたものが各相続人の具体的な遺留分となります(民法1042条②)。
例えば、総体的割合が1/2で法定相続割合が1/4でしたら
1/2×1/4=1/8
が具体的な遺留分となります。

遺留分の計算方法

遺留分の対象財産

遺留分の対象となる財産の価額は「被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額」とされています(民法1043条①)。
また、贈与した財産については1年以内のものに限り、遺留分の対象財産に含めることになります(民法1044条①)。
しかし、相続人に対する贈与である場合は10年以内の贈与についても遺留分の対象財産となります。

これを具体的な算式にしますと、
遺留分対象財産=相続時の財産+相続前1年以内生前贈与+特別受益(相続人対して行った相続前10年以内の贈与) ー 債務
となります。
なお、当事者双方が他の遺留分権利者に対して損害を与えることをしって行った贈与については期間の定めなく遺留分の対象となりますので注意が必要です。

遺留分対象財産の価額

遺留分対象財産の価額は、相続開始時点での価額となります。
これは相続財産だけでなく贈与された財産についても同様に相続開始時点での価額で評価することになります。
例えば、会社オーナーが生前に後継者へ贈与したときは、贈与税はその贈与時の価額により計算を行うこととなりますが、遺留分の計算においては相続開始時点での価額によって行うこととなります。

おわりに

この記事では遺留分の具体的な計算方法についてご説明いたしました。
遺留分は相続実務上大変重要なものとなりますので是非ご参考にしていただければと思います。
遺留分の計算方法に関することは、お気軽に福岡相続テラスにお問い合わせください。

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