はじめに
近年、都心一等地の不動産は値上がりが起きています。
特に2024年の今年は3年に1度の固定資産税の評価替えの年ですから、土地オーナーの皆さんも実感されるでしょう。
都心の優良な不動産への需要は高まっていますが、資金力が大きくない個人の投資家は投資運用することがかないません。
そこで特定の不動産を1口100万円から1000万円程度に小口化する商品が登場しました。
その不動産から得られる賃料収入や売却時の売却益を投資口数に応じて分配して収益を受け取ります。
不動産小口化商品には【任意組合出資型】【匿名組合出資型】【賃貸型】と大きく分けて3種類の商品があります。
今回は、一般的に利用されている【任意組合出資型】についての商品内容と現在の相続税評価の方法と懸念点についてお伝えします。
任意組合型の不動産小口化商品とは
【任意組合型】の不動産小口化商品は投資家と事業者が任意組合契約を結び、参加している組合員で不動産を共同所有します。
事業者が業務執行組合員として不動産管理運用を行い、そこで得られた収益を所有口数に応じて投資家に分配しています。
相続対策をうたっている不動産小口化商品は一般に相続人に地位譲渡ができる規約となっているため、相続が発生した場合は小口化商品を相続することができます。
また不動産を小口化しているため、相続人に対して1人〇口というように分割して相続しやすくなっています。
任意組合型の不動産小口化商品の相続評価
では【任意組合型】の不動産小口化商品はどのように相続税評価を現状ではしているのでしょうか。
実は任意組合出資にかかる権利評価について明示した法令や通達はありません。
不動産小口化商品の投資家は土地や家屋を保有口数の割合に応じて直接的に保有していると考えられます。
したがって現状では土地家屋の財産基本通達を準用して評価しています。
土地については形状や接道状況などで補正をかけた路線価による評価、家屋については固定資産税評価によって相続財産評価をします。
相続税評価では土地の場合、おおよそ時価の80%、家屋の場合時価の60%程度に抑制されることが一般的です。
それに加えて収益物件のため土地は貸家建付地、家屋は貸家として評価が減額されていきます。
さらに貸付事業用宅地等の小規模特例宅地等の特例を適用することが可能です。
不動産小口化商品の投資先は都心の不動産が多く、もともとの財産価値が高いため減額の効果がよりおおきくなります。
課税へのリスク
しかし課税に対するリスクはついてきます。
相続税評価と時価との乖離が大きすぎる場合、租税負担の公平性に反するということで評価通達に従った評価額が否認されるケースがあります。(令和4年最高裁判決では不動産小口化商品とは直接関係しませんが相続税の租税回避について最高裁での見解が出されました。)
相続対策として小口化商品は宣伝されているため矛盾するようですが、明らかに相続税負担を軽減することを主目的として購入した場合などは評価額が否認されるリスクは存在します。
また現状では土地家屋の財産評価通達を準用していますが、不動産小口化商品を金融投資商品としてみなす評価方法に代わる可能性があります。
そちらの適用を受けると不動産評価による節税効果は一切見込めなくなります。
そういった課税リスクを踏まえて、購入を検討されている方はぜひ一度相続専門の税理士に相談することをおすすめいたします。
おわりに
いかがでしたか?この記事では
- 任意組合型の不動産小口化商品
についてご紹介いたしました。
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