2023.08.21

被相続人との連帯債務がある場合の注意点

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

相続財産にはプラスの財産だけでなく、借入金等のマイナスの財産がある場合もあります。

マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合には相続放棄を検討される方が多いかと思います。

この記事では、マイナスの財産があってもなお相続税が課税されるほどのプラスの財産がある場合のマイナスの財産の取り扱いや、被相続人との連帯債務がある場合の注意点についてご説明いたします。

相続税法上の債務控除

被相続人に借入金がある場合、プラスの財産から債務として控除することができます。

相続税法上の債務控除について簡単にご説明いたします。

相続税の計算上、債務が大きければ大きいほど下記図の②遺産額が小さくなるので相続税も安くなります。

(国税庁より)

相続税法上、遺産総額より差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものです。

また、その債務を差し引くことができるのは債務を負担することになる相続人です。

すなわち、その相続人が債務を負担した結果、課税価格がマイナスとなるときには、そのマイナスを他の相続人と通算することは認められません

借入金は全額債務になるか

被相続人に借入金があれば全額債務控除ができると思われるかもしれませんが、金銭消費貸借契約書を必ず確認する必要があります。

借入金に連帯債務者がいる場合は、
・債務者相互間で負担割合が定められていれば被相続人の負担割合分を債務控除が可能
・連帯債務者が弁済不能の状態であれば代わりに負担しなければならないと認められる部分が債務控除可能
となります。

団体信用生命保険で債務免除となったとき

団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済中に死亡や高度障害など万が一のことがあった場合に、住宅ローンの借入残高をゼロにして、家族の住居を守ることができる保険です。

相続開始時点では借入残高は残っており、残高証明書にも記載されることがありますが、団体信用生命保険により借入残高はゼロになるため相続税の債務控除の対象ではございません。

ただ、住宅ローン契約に被相続人以外の連帯債務者がいる場合は、債務免除となった金額については当該連帯債務者の一時所得として課税される点にご注意ください。

補足: 根抵当権の確認

被相続人が事業を行っていた場合には、所有不動産に根抵当権が設定されていることがあります。

根抵当権は、上限額を決め、その設定金額の範囲内であれば、何度でも借り入れと返済を繰り返すことができます。

ただし、この債務者が死亡した場合には、被相続人に代わる新たな債務者を相続人の中から選定してその旨を登記する必要があります。

この登記を相続開始後6か月以内に行わなくてはいけません。

6か月以内に登記をしないと、借入金の返済金額の確定がされ、新たな借入ができなくなりますのでご注意ください。

おわりに

この記事では、被相続人にマイナスの財産がある場合、また連帯債務がある場合の注意点についてご説明いたしました。

債務控除ができるかどうかは相続税に大きな影響を与えますのでしっかり検討することが必要です。

相続に関する無料相談を行っていますのでお気軽に相続テラス(税理士法人アーリークロス)にご相談下さい。

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