目次
はじめに
相続が発生した場合、相続した遺産の価額が基礎控除額を超える場合でも、特例や税額控除を適用すれば、相続税はかからない可能性があります。
では、相続税がかからない場合でも申告をする必要はあるのでしょうか?
この記事で紹介する、相続税はかからなくても申告が必要な場合と、その理由を理解すれば、申告が必要なのか、申告しなくて良いかの判断ができます。
この記事では、相続税がかからない場合でも、申告が必要なケースを5つご紹介します。
相続税が生じる場合とは?
相続税が生じる場合とは、相続や遺贈などにより各相続人等が取得した財産の合計額(課税遺産総額)が基礎控除※を超えるときです。
1.相続税が課税される財産
- 相続や遺贈によって取得した財産(遺産総額)の価額と相続時精算課税の適用を受ける財産の価額と相続開始前3年以内の贈与財産を合計します。
- 1から債務、葬式費用、非課税財産を差し引いて、遺産額を算出します。
- 2から基礎控除額※を差し引いても、残額がある場合は相続税が生じます。
※基礎控除額
3,000万円+600万円×法定相続人の数
※法定相続人の数
相続の放棄がなかったとした場合における、相続人の数をいいます。 なお、被相続人に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人(実子がいないときは2人)までとなります。
非課税財産や基礎控除額については、こちらをご覧ください。
https://www.earlycross.co.jp/souzoku/hikazei-setsuzei
相続税がかからなくても、相続税の申告書を提出する必要がある場合とは ?
相続税がかからなくても申告書を提出しないといけない場合とは、特例や控除の適用など相続税の計算の結果、相続税がかからない場合です。
計算の結果相続税がかからない場合でも誤って申告書を提出していなかった場合は、加算税や延滞税がかかってしまいますの注意が必要です。
参考として、以下にケース1.からケース5.をご紹介させていただきます。
なお、 この他にも相続税の申告書の提出を要件とする各種特例がありますので詳しくは弊社までお問い合わせください。
ケース1. 配偶者の税額軽減
配偶者が財産を相続する場合は「配偶者の税額軽減」といういわゆる「配偶者控除」の特例があり、1億6,000万円か法定相続分のいずれか高い金額までは相続税がかかりません。
ただし、「配偶者の税額軽減」の特例の適用を受けるには、その条件として「相続税の申告」をする必要があります。
税務署に対して「配偶者の税額軽減を適用させてください」と申告しなければ、この特例は適用できないのです。
ケース2. 小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは、被相続人が住居として使用していた土地や事業用地として使用していた土地について、一定の要件を満たす場合、その評価額を減額して相続税の課税価格に参入するという制度です。
被相続人の宅地の評価を50〜80%減額することができるため、相続税対策には欠かせない制度ですが、この特例を利用して相続税がゼロの場合も、申告が必要となります。
ケース3. 農地の納税猶予の特例
農地を相続した場合に、一定の要件を満たすと、相続税の納税を猶予してもらえる特例です。
条件次第では、相続税を免除してもらえることも可能です。
ケース4. 特定計画山林の特例
農地と同様に納税の猶予を認める特例です。
特定森林経営計画が検討されている区域内の山林を相続した場合、一定の要件を満たすと相続税の納税を猶予してもらえます。
ケース5. 国・公益法人等へ寄付
国や特定の公益法人に要件に従って相続財産を寄付することで、寄付した財産について相続税が非課税となります。
おわりに
本記事では、相続税がかからなくても申告をしなければならないケースを具体的に5つお伝えしました。
相続された遺産が基礎控除を超える場合は、お亡くなりになられた日の翌日から10ケ月以内に被相続人の住所地を所轄する税務署に相続税の申告と納税をする必要があります。
ただし、特例等を適用する場合は判断に迷われることがあると思います。
特例等を適用することによって、相続税がかからなくても、その意思表示として申告書を提出するというものです。
本記事でご説明した事例をご参考にしていただき、申告書を提出には十分ご注意ください。
後日、税務署から指摘されて申告書を提出することになると、遺産を再度確認し直し、分割協議書を作成し、申告書を作成することとなり、大変な作業となります。
本記事を読み終え、もしかして、申告書の提出が必要だったのではないか、と不安に思われる方もいらっしゃるかも知れません。
何かご心配なことがありましたら、相続税専門の税理士に相談されることをおすすめします。
福岡相続テラス(税理士法人アーリークロス)では、相続全般について初回相談無料にて相談を受け付けております。
オンラインでのご相談も可能です。
お気軽にご相談下さい。
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