更新日:2020.04.07
目次
はじめに
令和2年4月1日以後に遺言書作成の際、必ず検討しなければならないのが「配偶者居住権」です。
民法改正により導入されたこの制度は、遺言者が亡くなったあとの配偶者が故人と一緒に住んでいた家に暮らせる権利を確保するために創設されたものです。
この配偶者居住権、意外にも相続税の節税につながる可能性もありますのでしっかりと検討するようにしましょう。
配偶者居住権の利用を検討すべき人
- 自分が亡き後、大切な配偶者の住む家を確実に確保してあげたい
- 相続財産の大部分が自宅不動産
- 仲の良いご家庭(相続税目線)
配偶者居住権を利用したい人がすべきこと「遺言書の書換え」
令和2年3月31日以前に遺言書を作ってしまっている場合
何十年もの間ずっと受けていた仕打ちから感じていた他の兄弟との不公平感を拭うために、最後の最後で財産で公平にしてあげようと、わざわざ遺言書を作成してくれたご両親のお気持ちを無下にして、遺産分割協議をしようとする他の兄弟のご提案を聞き入れますか?
何が不公平感のトリガーになっているかは挙げるときりがありません。
(例えば進学した大学費用の差、その間の一人暮らし費用の工面、住宅購入資金の工面、車の購入資金の工面、孫の人数差による贈与額の差、ご両親の老後の身の回りのお世話、そのために自身が退職、その他多数)
つまり、実務では遺言をキャンセルして、遺産分割協議でやり直すというのはあまり見られません。
このとおり、すでに作っている遺言書とおりになる可能性が非常に高いですので、必ずご自身の遺言書の書き換えを検討しましょう。書き換えの際はご用命ください。
2020年4月1日以後に作成する
配偶者居住権の設定が可能となるのは、令和2年4月1日以後の遺言書の書き換えからです。
自筆証書遺言の人も公正証書遺言に書き換える良い機会
自筆証書遺言でも配偶者居住権の設定は可能です。
ですが想像してみてください。
・四九日も終え、自宅の整理をしているときに気づかず誤って捨てちゃったら・・・
・別居していた子が先に遺言書を発見し、自分がもらえる金額が少ないからとこっそり破棄しちゃったら・・・
どちらも生前からオープンにして、家族会議を実施していれば起きない問題です。
家族にオープンにするとき、遺言書の場所だけを伝えるというのは通常考えにくいですから、財産とその配分を話さないといけない事となると思いますが、これが実際には難しいものです。
多く財産を渡す子にはお話できるでしょうが、その一方で財産を少なく配分しようとしている子(普段そばにいない子)にお話できますか?
この点、公正証書遺言でしたら心配する必要はありません。
遺言書を調製するのは公証人(裁判官OBや法務局OB等の法律のエキスパート)ですから、ミスはありませんし、保存も公証役場でしてくれますから安心です。遺言者がすべきことは
- 公証役場へ行き
- 公証人と話し
- 署名実印をだけです
※前段階の準備が必要です。
配偶者居住権の設定により相続税にどう影響するか
- 一次相続税の節税(本人の相続)
- 二次相続税の節税(配偶者の相続)
- 一次相続の後、生前贈与対策を実行しやすい
※財産状況等により必ずしもこの通りにならないこともございます。遺言を検討される方は必ず相続専門の税理士にご相談ください。
まとめ
「すでに遺言書を作成したから私は大丈夫。」
とは限りません。新しい日本の民法制度を知り、いまいちど遺言で何ができるか考えましょう。それがご家族、配偶者にとってとても大きな良い影響となります。
福岡相続テラス(税理士法人アーリークロス)では相続に関する無料相談を行っておりますので、お気軽にご連絡ください。
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