目次
はじめに
ご家族が亡くなられた場合、故人の銀行口座が凍結されると困ってしまいますよね。
例えば、
・口座が凍結された場合、葬儀費用や生活費の支払いは大丈夫だろうか…
・遺産分割協議が整うまでは、口座の凍結が解除できないと聞いたが、協議に時間がかかりそうな場合、どうしたらいいのだろうか…
といったご心配はございませんか?
実は、口座凍結後、まだ遺産分割協議が整っていない場合でも、預金を引き出せる方法があるのです。
今回のコラムでは、その方法と注意点についてご説明したいと思います。
預貯金の払戻し制度
故人の預貯金口座が凍結されてしまうと 、葬儀費用や相続人の方の生活費などが支払えず、生活に支障をきたす恐れがあるので、これを解消するために設けられた制度があります。
この制度は、「預貯金の払戻し制度」や「預貯金の仮払い制度」などと呼ばれています。
※正式には、2019年7月1日施行の 民法第909条の2「遺産の分割前における預貯金債権の行使」 のことを指します。
この制度には、下記の2種類があります。
①家庭裁判所の判断を要しない制度
②家庭裁判所に申し立てを行い、家庭裁判所の判断を要する制度
今回は、比較的簡単に手続きのできる、①の「家庭裁判所の判断を要しない制度」について詳しく見ていきたいと思います。
※なお。相続開始日が施行日より前だったとしても、この制度を行使するのが施行日以降であれば適用は可能です。
手続きの方法
以下の必要書類を準備し、預貯金を引き出したい金融機関にて手続きを行うことになります。
※ただし、必要書類については、各金融機関によって準備する内容や書類の有効期限について、多少の違いがあるようですので、預貯金を引き出したい金融機関に事前に確認したほうが良いです。
必要書類
- 引き出しを希望する相続人の本人確認書類
- 被相続人の除籍謄本、戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 引き出しを希望する相続人の印鑑証明書 等
引き出せる金額の上限と具体的な計算方法
引き出せる金額の上限は?
各相続人が引き出せる金額は、一金融機関につき、以下の①②のどちらか小さい方の金額までです。
①預貯金残高×1/3×法定相続割合
②150万円(複数支店所有の場合は全支店合計で)
具体的な計算方法は?
この場合の、配偶者が引き出せる合計金額は 「200万円」 となります
※内訳は次の通りです
A銀行:300万円×1/3×1/2=50万円 ⇒ 50万円
B銀行:1200万円×1/3×1/2=200万円 ⇒ 150万円(150万円を超える場合は150万円が上限)
この制度の注意点
とても便利な制度ですが、注意点もあります。
- この制度を使って預貯金を引き出すと、単純承認をしたことになり、相続放棄ができなくなる
- 遺言書に預貯金の記載がある場合、その預貯金については適用ができない(この制度を利用して預貯金を引き出した後に遺言書が見つかった場合も、他の相続人との間でトラブルになる可能性も否定できない)
- 引き出せる金額が法定相続割合によって変わるため、相続人の確認を慎重に行う必要がある
この制度を利用する際には、以上のようなことに十分注意してください。
おわりに
いかがでしたか?今回のコラムでは
口座が凍結された後に預金を引き出す方法
についてご説明いたしました。相続に関することは、お気軽に福岡相続テラスまでお問い合わせください。
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