はじめに
相続財産の認定は、財産の名義にかかわらず実質的に被相続人の財産と認められるものが課税の対象とされています。
いわゆる名義預金も被相続人に帰属する財産と認められた場合には、相続財産として申告書に計上しなくてはいけません。
名義預金については、過去の記事もご参照ください。
この記事では、夫婦のお金が混同している預金についてはどのように財産の線引きを行うべきかについてご説明いたします。
収入による按分
預金の原資が家族の収入を混同して形成されている場合、被相続人に帰属する額を合理的な方法で算出しなければなりません。
仮に夫婦の収入比が夫7:妻3であり、その収入比で財産形成がなされていることが明らかな場合には、夫婦のお金が混同している預金については7:3で線引きすることが可能です。
しかし現実的にはそう簡単に線引きすることは難しいはずです。
平成13年3月29日裁決〔裁事61・512〕では、収入費按分による推計方法について、その収入期間や収入状況、さらには生活状況など一切の要素を考慮した上で収入割合を決定すべきものであるとしています。
本裁決では、次の二つの理由から収入比按分による方法は採用しがたいと判断されています。
①被相続人の教職にあった期間は妻の教職にあった期間より約10年短く、勤続年数による収入金額の考慮がなされていないこと
②被相続人と妻が退職したのは、相続開始の日から約15年も前のことであるため、退職後のそれぞれの資産形成の経過が不明であること
名義預金の評価方法・計算方法には絶対的な正解がありませんが、過去の裁決や判例により評価方法の指針を確認することが必要です。
名義人自身が過去に形成した財産を把握する
被相続人が夫で、妻は専業主婦であった場合に妻の預金額が不自然に大きいと税務署は名義預金ではないかと考えます。
しかし名義預金として全額を相続財産に計上しなくてはいけないかというとそういうわけではありません。
夫の収入以外で妻が財産を形成している部分については名義預金から差し引いて計上することができるのです。
例えば下記のような財産です。
・妻の両親等からの相続財産
・結婚前に数年働いていてその時の貯蓄財産
・結婚後のパート収入
・公的年金等
混同されないために生前対策としてできることは上記部分については例えば夫からの生活費をいれている口座とは別の口座にしておくことや、定期預金にすることなどが有効です。
おわりに
名義預金の判定や評価方法には絶対的な正解がないため相続税申告において重要な論点になります。
名義預金かどうかの判断に不安がある方は相続税専門の税理士にご相談することをお勧めいたします。
福岡相続テラスでは、1時間の初回無料相談を行っておりますので、是非お気軽にお問い合わせください。
※LINEでお問い合わせを受付中!
以下のリンクから公式アカウントを友だち追加して、分からないことや相談したいことがありましたら、トークルームからお気軽にお問い合わせください!
メッセージをお待ちしています。
よく読まれている記事
- 平日夜間対応
-
事前予約にて
土日祝対応 - テレビ会議対応