2021.01.29

不動産法人化による相続対策

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

賃貸用の土地や建物を個人で多く所有している方は、不動産所得が多額になり所得税や住民税の負担も多くお困りではないでしょうか?

また、将来発生する相続において何か対策がないだろうかとお考えではありませんか。

この記事で紹介する不動産管理会社の設立をすることによって、所得税の節税相続対策を行うことができます。

なぜなら、ご自身に集中していた収入を、法人化することにより所得を分散して毎年の所得税が軽減され、収入がご自身だけに蓄積されることを防止することで、相続対策にも繋がるからです。

この記事では、不動産管理会社の運営形態や不動産管理会社を活用して解決できることを3つご紹介します。

また、会社設立に伴い税務上留意すべき点もご紹介します。

この記事を読み終えると、ご自身の所有される賃貸不動産を管理会社化するメリット注意点が分かり、不動産管理会社を設立すべきかどうかをご判断いただけるようになります。

不動産管理会社の運営形態について

不動産管理会社の運営形態は大きく3つあります。

管理料徴収方式

不動産オーナーが不動産を第三者に賃貸する場合に不動産管理会社がその仲介をし、以後の管理を行います。

管理会社の収入は不動産オーナーからの管理料のみとなります。

転貸方式

不動産オーナーが所有不動産を不動産管理会社に一括で賃貸し、管理会社が第三者に転貸します。

家賃収入が管理会社に入りますが、そこから賃料をオーナーに支払います。

不動産所有方式

不動産管理会社自身が賃貸用不動産を取得・建築し、管理運営の業務を行います。

家賃収入の100%が管理会社の収入になります。

設立に伴い税務上留意する点

消費税の取り扱い

株式会社等を設立する場合、資本金の額によって消費税の取り扱いに注意する必要があります。

事業を開始した事業年度とその翌事業年度は通常、消費税の納税義務がないのですが、その事業年度開始の日において資本金の額または出資の金額が1,000万円以上である法人などについては、消費税の納税義務が免除されません。

また、前事業年度開始の日から6ヶ月間の課税売上高が1,000万円を超える場合においても消費税の納税義務は免除されません。(ただし、課税売上高が1,000万円を超える場合でも6ヶ月間の給与総額が1,000万円を超えない場合は納税義務は免除されます。)

不動産取得税・登録免許税

不動産オーナーと同族経営の不動産管理会社との間の建物売買取引でも、一般の建物売買取引の売買と同様に建物所有権移転に伴い、不動産管理会社側に不動産取得税登録免許税が課税されます。

不動産管理会社を活用して解決できること

遺産争いと賃料収入の分散防止

不動産管理会社を設立せずに、不動産オーナーが遺言書を遺さず相続が発生した場合、遺産分割協議が整うまでの間の未分割遺産である不動産の賃料収入は法定相続分に従って共同相続人に帰属されます。

分割協議に時間がかかればかかるほど賃料収入の精算もからみ、遺産分割協議の難易度が高まります。

遺産分割が整わないまま相続税を申告しますと、適用できない特例もあります。

賃貸不動産を不動産管理会社に所有させておけば、不動産賃料収入の分散を防止することや賃貸用不動産の分割ではなく株式の分割になるので遺産分割の難易度が高まることを防ぐことができます。

小規模企業共済制度に加入できる

小規模企業共済制度は「事業者の退職金制度」であり、事業者の退職後の資金をあらかじめ準備しておく共済制度です。

共済掛金は全額を「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除されます。

また、死亡により小規模企業共済金を受け取った場合には、相続税法上死亡退職金として取り扱われ、法定相続人一人当たり500万円の非課税の適用を受けることができます。

株式等による資産の生前贈与が可能となる

賃貸不動産を不動産管理会社へ譲渡することによって、財産の種類が「賃貸不動産」から「取引相場のない株式等」に変わります。

その株式等を生前贈与する場合、株式等を分割して贈与税の負担が少ない範囲で毎年贈与することが可能になります。

生前贈与により相続財産を減らすことで相続税対策が可能です。

家族に分散して贈与する場合には、種類株式を活用し、議決権を有する株式等と無議決権の株式等に区分しておけば、所有と支配権を分離することができます。

おわりに

本記事では、賃貸不動産を所有している方の所得税の節税と相続対策のために不動産管理会社の設立をご紹介しました。

しかし、不動産の法人化で税務メリットを受けるためにはある程度の資産規模が必要となります。

不動産を法人へ移す場合は不動産取得税、登録免許税など移転コストを考えた上でそれでもメリットがある場合のみ実行すべきです。

相続対策は、専門家のアドバイスを受けて実行する必要があります。

福岡相続テラス(税理士法人アーリークロス)では、初回無料相談を行っております。

コロナ感染対策も徹底してお待ちしておりますので、相続に関する不安を少しでもお持ちの方はお気軽にご相談ください。

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