2020.12.11

相続した実家の土地が非課税となる?小規模宅地等の特例とは?

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

実家の土地を相続された方やアパートなど賃貸不動産を相続された方は「小規模宅地等の特例」をご存知でしょうか?

実はこの特例、土地の価額を最大80%も減額することができる特例なのです。

なぜなら、小規模宅地等の特例は相続税を支払うために自宅の土地を売却しなければならなくなることを防止するために設けられたものなので税法上、非常に優遇されています。

この記事では、小規模宅地等の特例の中でも「居住用」の土地にフォーカスしていきたいと思います。

小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例とは、

  1. 相続又は遺贈により取得した財産で
  2. 相続開始直前において、
  3. 被相続人等の事業用又は居住用に使っていた
  4. 建物や構築物の用に供されている宅地等で
  5. 一定の面積部分までについて減額する

ものです。

③の要件のように、事業用なのか居住用なのかでさらに要件が枝分かれしていきますが本記事では実家を相続した場合などの「居住用」のものについて解説していきます。

なお、居住用宅地等のことを専門用語で「特定居住用宅地等」と言います。

※宅地等の「等」は、宅地及び宅地の上に存する権利(借地権等)のことを言います。

※被相続人等の「等」は、被相続人及び被相続人と生計を一にする親族のことを言います。

特定居住用宅地等の要件

特定居住用宅地等については、まずだれが相続により取得するかで要件が変わってきます。

A 被相続人の配偶者

B 被相続人と同居していた親族

C 被相続人と別居していた親族

D 被相続人と生計を一にしていた親族

取得者が被相続人の配偶者(A)の場合

配偶者が取得する場合については無条件で特例をうけることができます。

取得者が被相続人と同居していた親族(B)の場合

下記2つ要件を満たすことができれば特例をうけることができます。

①居住継続要件

被相続人と一緒に住んでいた建物に相続税の申告期限まで(相続開始を知った日から10ヶ月)居住していること。

②保有継続要件

その宅地等を相続税の申告期限(相続開始を知った日から10ヶ月)まで保有していること。

取得者が被相続人と別居していた親族(C)の場合

通称「家なき子特例」というもので、配偶者がいない、つまり二次相続のときに使う特例となっております。

AやBの場合に比べて要件が多いので注意して要件確認を行ってください。

①相続開始時の状況

  1. 相続開始直前において、被相続人の居住の用に供されていた家屋に
  2. 被相続人の配偶者または
  3. 居住していた被相続人の法定相続人がいないこと

②居住用家屋を所有していない

  1. 相続開始前3年以内に
  2. 日本国内にある
  3. 自己、自己の配偶者、その3親等以内の親族又はその親族と特別の関係がある法人の所有する家屋に
  4. 居住したことがない

※なお、細かい要件ではありますが「国内国外財産ともに課税される納税義務者」であること、「被相続人、相続人とも国内に住所がない者で日本国籍を有する者」である必要があります。

取得者が被相続人と生計を一にしていた親族(D)の場合

下記2つ要件を満たすことができれば特例をうけることができます。

①居住継続要件

その宅地等を相続開始前から相続税の申告期限まで(相続開始を知った日から10ヶ月)自分の居住用にしていること。

②保有継続要件

その宅地等を相続税の申告期限(相続開始を知った日から10ヶ月)まで保有していること。

特定居住用宅地等の減額割合

上記の要件を満たした特定居住用宅地等については、下記の通り土地等の課税価格が減額されることになります。

330㎡まで80%減額

例えば、1億円(地積:300㎡)の評価額の土地があったとして、この特例を使えば8000万円も評価額が減額されることになります。

まとめ

本記事では小規模宅地等の特例、とりわけ「居住用」の宅地等について解説しました。

特定居住用宅地等については、実家を相続する場合に適用検討できる特例ですのでほとんどの相続人の方が対象となることかと思います。

要約すると、

  1. 配偶者は無条件で適用できる
  2. 同居親族と生計一親族は保有継続要件と居住継続要件がある
  3. 別居している親族は二次相続時のみ適用可能で、要件が細かくなっている
  4. 330㎡まで80%減額される

以上を覚えて頂ければ十分かと思います。

福岡相続テラス(税理士法人アーリークロス)では相続に関する無料相談を行っておりますので、お気軽にご連絡ください。

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