2024.09.13

未登記・リフォーム工事・建築中の場合の家屋の評価方法

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに 

相続税の評価は、被相続人が死亡した時点の価値で行われます。

家屋にバリアフリーやリノベーション等リフォーム工事が行われた場合、評価は注意が必要になります。

相続税の自用家屋の評価について

相続税の財産評価で家屋の価額は、原則として、1棟の家屋ごとに、その家屋の固定資産税評価額に倍率(1.0)を乗じて計算した金額によって評価します。
 
リフォーム工事などを行った場合の家屋の評価の注意点について紹介します。

固定資産税評価額について

 相続税の財産評価において、建物の評価額は基本的に「固定資産税評価額」を基に計算されます。

 「固定資産税評価額」は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に従い、再建築価格を基に各市区町村が評価額を算出します。

 これは、評価の時点において評価の対象となる家屋と同一の家屋をその場所に新築する場合に必要とされる再建築費によって再建築費評点数を算出し、その家屋の建築後の経過年数に応じた減価を考慮して評価額を求めるものです。

未登記の場合

 多くの場合、未登記の建物であっても、固定資産税評価額が付されています。

 固定資産税評価額が付されていない場合の家屋の価額について、国税庁の質疑応答事例「増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価」を参考にすることができます。

 回答要旨において、当該増改築等に係る家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基として、その付近の家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額(ただし、状況の類似した付近の家屋がない場合には、その増改築等に係る部分の再建築価額から課税時期までの間における償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額)を加算した価額(課税時期から申告期限までの間に、その家屋の課税時期の状況に応じた固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額)に基づき財産評価基本通達89(家屋の評価)又は93(貸家の評価)の定めにより評価する とあります。

リフォーム工事をしたら?

 建物についてリフォーム工事などをしたら、その工事が修繕費に該当する支出なのか、財産価値を高める資本的支出に該当する支出なのか、確認をする必要があります。

 リフォームの内容や費用に関する書類(契約書、領収書、施工写真など)をきちんと保管しておくことをお勧めします。これらの書類は、評価額に対する証拠として役立ちます。

 建物の価値を高めるための支出をした場合、その費用を建物の評価額に適切に反映させることが重要です。

修繕費に該当する場合

 修繕費は建物の維持管理のための費用で、家屋の資産価値が上昇したとはいえず、財産計上する必要はありません。

修繕費には、雨漏りの修繕・外壁塗装・壁紙の張替え等、建物の経年劣化した部分や壊れた部分の修理などの原状回復工事が該当します。

資本的支出に該当する場合

 建物の価値を高めるための支出をした場合、その費用を建物の評価額に適切に反映させることが重要です。

床面積が増える増築工事やキッチン・お風呂場の交換工事、建物の機能を向上させるバリアフリー工事などが該当します。

 床面積が増える増築工事などは、固定資産税評価額に反映されていることがあります。固定資産税評価額に反映されている場合には、固定資産税評価額で計算します。

 工事をした部分が固定資産税評価に反映されていない場合には、前述した「未登記の建物」の評価に準じた評価をすることになります。

建築中の家屋

 建築中の家屋の場合には、固定資産税評価額が付けられていません。

そこで、建築中の家屋の価額は、その家屋の費用現価の70パーセントに相当する金額によって評価します。

これを算式で示すと次のとおりです。

建築中の家屋の価額=費用現価の額×70%

この算式における「費用現価の額」とは、課税時期(相続または遺贈の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)までにその家屋に投下された建築費用の額を、課税時期の価額に引き直した額の合計額のことをいいます。

おわりに

いかがでしたか?
この記事では建物についてリフォーム工事をした場合の相続税評価に関して

  • 未登記の場合
  • リフォーム工事をした場合
  • 建築中の場合

についてご説明いたしました。

 相続税の家屋の評価は固定資産税評価額に倍率を乗ずるだけですが、増改築やリフォーム工事をした場合等、注意する事があります。

工事の内容が評価額にどのように反映されるか専門家に確認することが重要です。

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