住宅取得資金贈与について(令和6年~令和8年)
はじめに
鹿児島市街地では、新築分譲マンションの建設が盛んに行われています。
2014年から2023年までの10年間で、鹿児島市内には80棟もの分譲マンションが建てられたとのことです。
多くの方々がマイホームの購入を検討している中で、祖父母や両親からの資金援助を受けるケースも少なくありません。
このコラムでは、マイホームの購入資金の援助を受ける際に活用できる「住宅取得等資金贈与の非課税特例」の概要、要件、および注意点について詳しくご紹介します。
「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」の概要
令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に父母や祖父母などの直系尊属から、自己の居住の用に供する住宅の新築・取得又は 増改築等のための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を贈与により取得した場合において、以下の金額までの贈与につき贈与税が非課税となる制度です。
※省エネ等住宅とは、省エネルギー性能、耐震性能又はバリアフリー性能を有する住宅用の家屋で、次のいずれかの基準を満たすものをいいます。
- 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上
- (中古住宅、増改築を行った住宅、令和5年12月31日までに建築確認を受けた、または令和6年6月30日までに建築された住宅は、断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上)
- 耐震等級2以上または免震建築物
- 高齢者等配慮対策等級3以上
適用要件:贈与者・受贈者の要件
⑴贈与者の条件
受贈者の直系尊属(父母、祖父母)であること
⑵受贈者の条件
- 贈与者の直系卑属(子や孫)であること
- 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上であること
- 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下(床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、合計所得金額が1,000万円以下)であること
- 平成21年分から令和5年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」の適用を受けたことがないこと
- 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと
- 贈与を受けたときに日本国内に住所を有し、かつ、日本国籍を有していること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅用の家屋を新築や取得等をし、その家屋に居住すること(居住が間に合わない場合は、12月31日までに居住すること)
適用要件:非課税の対象物と用途の要件
⑴住宅に関する要件
イ 新築住宅
- 登記簿上の床面積(マンションの場合、その専有部分の床面積)40㎡以上240㎡以下
- 家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が自身の居住用であること
ロ 中古住宅
新築住宅の要件に加えて次のいずれかの要件を満たすことが必要です。
- 昭和57年1月1日以降に建築されたものであること
- 耐震基準に適合することを証明する書類があること
- 住宅を取得するまでに耐震改修工事の申請を行い、贈与を受けた年の翌年3月15日までに耐震基準に適合したことを証明できること
ハ 増改築
- 増改築後の住宅用家屋において、その登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下
- 床面積の2分の1以上が受贈者の居住用に使用されていること
- 増築工事の費用が100万円以上であり、費用の半分以上が自己の居住の用に供される部分の工事に充てられていること
- 増築は自己が所有かつ住居している家屋について行われ、工事の内容について証明する書類があること
⑵用途に関する注意点
- 贈与を受けた全額を住宅購入等にあてること
- 住宅ローンの返済のために金銭を受贈する場合にはこの特例は適用されません
適用要件:申告義務
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書を納税地の所轄税務署に提出する必要があります。
また、下記の書類を添付する必要があります。
- 戸籍の謄本
- 登記事項証明書
- 合計所得金額を明らかにする書類
- 請負契約書や売買契約書の写し
- 住宅性能証明書など
注意点①贈与のタイミング
贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅の引き渡しを受け、遅滞なく居住することが必要です。そのため、贈与を受けるタイミングや入居時期を考慮することが重要です。
新築の分譲マンションの場合、購入から完成・引渡しまでの期間が長期にわたることが多いため、入居予定日と同じ年に贈与するなど、タイミングを見極めることが大切です。
注意点②土地の購入に充てる
住宅取得資金贈与の非課税の特例は、新築前に先行して購入する土地に充てる場合も対象となります。
ただし、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、取得した土地の上に住宅用家屋を新築していない場合には、当該贈与により取得した金銭については住宅取得等資金の贈与の特例の適用はありません。
この新築には、屋根(骨組みを含む)が有り、土地に定着した建造物として認められる状態も含まれています。
また、土地は贈与を受けて自分が購入し、建物は配偶者が購入する場合には、土地のみの取得には住宅取得資金贈与の非課税の特例は適用ができませんので、ご夫婦でご購入される場合においてこの適用を受けるには、資金の負担割合に応じて共有にするなどの注意が必要です。
注意点③住宅ローン控除を適用する場合
住宅取得資金贈与の非課税の特例を適用した人は、その金額を住宅取得価額から差し引きして住宅ローン控除を計算しなければいけません。
住宅ローン控除の計算のもとになるのは、「住宅ローン等の年末残高の合計額」と「住宅取得等の対価の額」のいずれか少ないほうです。
たとえば、住宅ローンの年末残高が3,000万円、住宅取得金額が3,500万円、贈与された金額が1,000万円だった場合、取得対価は3,500万円-1,000万円=2,500万円とみなされ、住宅ローン控除の計算のもとになる金額は、住宅ローンの年末残高よりも少ないほうの住宅取得等の対価の額2,500万円となります。
そのため、住宅取得資金贈与の非課税を利用して贈与された資金が多く、住宅ローン残高が少ない場合は、住宅ローン控除の恩恵が減ることとなりますので、贈与する金額は事前に計画するとよいでしょう。
おわりに
いかがでしたか?この記事では「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」についてご説明いたしました。
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