2020.06.12

遺言の種類と書くべき人・公正証書遺言の作成について

税理士 小山寛史
税理士 小山寛史

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はじめに

「遺言って書いた方がいいの?」
「公正証書遺言が良いと聞くけれど、実際手続きはどうやってするの?」

と悩んでいませんか?

この記事では、遺言を書くべき人や遺言の種類、公正証書遺言を作成する場合の流れについて解説します。

遺言とは

遺言とは、自分が死亡した時に遺産をどのように分配するかなど自己の最終意思を明らかにするものです。

原則として、遺言者の意思に従った分配が行われます。通常、遺言がないと相続人に対して遺産が承継されます。

お世話になった方が相続人でなくても、その方に対して財産を渡したい場合には、遺言書に記載することにより財産を渡すことができます。

遺言を書くべき人

配偶者に先立たれ、子ども同士の仲が心配な方

遺言を書いておけば、分け方を指定できます。

おひとりさま・子どもがいない夫婦

甥・姪が相続人になる場合、財産内容の把握が難しいため、遺言があるとその後の財産の処分の負担が軽くなります。

遺言では相続人ではないお世話になった方に財産を渡すことができるので、遠くの親戚より近くの他人(相続人ではない方)に財産を渡したい場合も有効です。

こちらのコラムも参考にどうぞ
子がいない夫婦の相続と対策方法
相続人がいない方がしておくべきこと(おひとり様相続)

2回以上結婚し、先妻(夫)・後妻(夫)それぞれに子供がいる場合

相続人同士がお互いの存在を知らない可能性もあり、遺産分割協議が難航する可能性があります。

異母兄弟姉妹・異父兄弟姉妹の相続について

再婚し、配偶者に連れ子がいる場合

連れ子は養子縁組をしないと相続人ではないため、財産を受け取ることできません。

遺言の種類について

遺言の種類は 3 種類あります。

自筆証書遺言

  • 軽易な方式の遺言であり、自書能力さえあれば他人の力を借りることがなく、いつでも自らの意思に従って作成することができます。費用もほとんど要りません。
  • ただし、自分で遺言書を書くことになるため、遺言が発見されない、形式の不備により無効となる可能性があります。
  • 遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。(後述する「法務局に保管されている場合」は不要です)

検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

秘密証書遺言

  • 遺言の内容を秘密にしたまま、遺言者が証書に署名押印した後、封筒に入れ封印し公証役場にて証明してもらう制度です。 遺言の内容が秘密であるため形式の不備により無効となる可能性があります。
  • こちらも自筆証書遺言と同様、検認が必要となります。

自筆証書遺言の方式緩和(平成31年1月13 日施行)

自筆証書遺言について財産目録を作成する際は手書きで作成する必要がなくなりました。財産目録をパソコンで作成、通帳のコピーを添付することにより自書によらない財産目録でよいこととなりました。

また、全文パソコンで作成することが出来ず遺言書の本文については手書きで作成する必要があります。

法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設について(令和2年7月10日施行)

自筆証書遺言を作成した方は、法務大臣の指定する法務局に遺言書の保管を申請することができます。作成した本人が遺言書保管所に来て手続きを行う必要があります。

保管の対象となるのは自筆証書遺言のみとなり、遺言書は封のされていない法務省令で定める様式に従って作成されたものに限ります。

遺言書の保管申請時には、形式のチェックが行われ、相続開始後は家庭裁判所における検認が不要になります。

遺言書の紛失や発見されないというおそれはなくなり、遺言書の破棄、隠匿、改ざん等も防ぐことができます。

公正証書遺言

  • 公証人の関与の下で、2 人以上の証人が立ち会うなど、厳格な形式に従って作成する遺言書です。遺言者は、遺言の内容について公証人の助言を受けながら作成することが出来ます。また、公証人が遺言書の原本を厳重に保管します。
  • 公証人が作成するので、無効となる可能性は低いですし、紛失や偽造の心配もありません。
  • 自筆証書遺言のような検認手続きも不要です。
  • 公証役場に出向く必要があるため、手間と費用はかかります。

公正証書遺言の作成までの流れ

財産調査

遺言に記載する財産内容について抜け漏れがないよう、また、どのように財産を分けるかを検討するため、財産内容の把握を行います。

内容を検討する

把握した財産の内容をもとに、遺言の内容を検討します。

遺言の文案を作成

検討した内容をもとに、遺言の文案を作成します。
財産をどのようにするかの指示だけではなく、付言で自由にメッセージを残すことも可能です。

公証人と調整

必要な費用や、文案内容の確認、実際に公証役場に行く日程調整を行います。

遺言当日、公証役場へ

遺言者及び証人2名と公証人で遺言の内容に間違いがないか確認し、遺言書原本に署名・押印を行います。

相続テラスでは、公正証書遺言の作成代行を承っています

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