確定申告の知識ブログ

2025.02.20

株取引の確定申告について

はじめに

確定申告の時期が近づくと、株式投資を行っている方は「自分は確定申告が必要なの?」と疑問に思うことがあるかもしれません。また、株式投資に関しては、確定申告が必要ないケースでも、確定申告を行うことで節税が可能な場合があります。
今回は、株式投資における確定申告の要否や、税金の種類、確定申告書の記載内容や必要書類について、わかりやすく解説します。

株式投資における確定申告の要否

確定申告が不要なケース

  1. 特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合
    特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、売却益や配当金が入金される際に源泉徴収されるため、基本的には確定申告の必要はありません。
  2. 利益が20万円以下の場合
    例えば給与所得者の場合、株式投資による利益が年間20万円以下であれば、確定申告は不要です。ただし、副業収入やその他の所得と合算して所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要となります。

確定申告が必要なケース

  1. 特定口座(源泉徴収なし)又は一般口座を利用している場合
    証券会社が税金の計算や納付を行わないため、確定申告を通じて自ら税額の計算・納付をする必要があります。

確定申告をした方が良いケース

  1. 損益通算・損失の繰越控除行う場合(上場株式のみ)
    確定申告を行うことで、株式投資で損失が発生した場合に損失を他の利益(売却益や配当金)と相殺できる「損益通算」を行うことができます。
    また、相殺しきれなかった損失は翌年以降最大3年間にわたって繰り越すことができ、将来の利益と相殺する「繰越控除」を活用できます。
    繰越控除を活用する場合は、損失が発生した年と以後3年間は毎年確定申告が必要になります。
  2. 配当所得を総合課税で申告する場合
    配当金について「申告分離課税」ではなく「総合課税」を選択し、他の所得と合算して税額を計算する場合には、確定申告が必要です。
    申告分離課税の場合税率はおおむね20%ですが、総合課税の場合は5~45%です。他の所得の金額によっては、総合課税を選択した方が税率を低く抑えられる場合があります。

株式投資で得られる利益と税金の種類

株式投資を行うことで得られる利益には、大きく分けて売却益と配当金の2種類があります。それぞれにかかる税金の種類を確認しておきましょう。

1.売却益(キャピタルゲイン)

株式を売却した際に発生する利益です。売却時の価格から購入時の価格および売買手数料を差し引いた金額が利益となり、課税対象になります。
株式の売却益は原則として「譲渡所得」に区分され、他の所得と分けて税金を計算する「申告分離課税」となります。

・税率:20.315%(所得税15.315%+住民税5%)

2.配当金(インカムゲイン)

株式を保有している企業から受け取る配当金も課税対象となります。配当金にかかる税金は、上場株式等と一般株式(非上場株式等)で異なります。
配当金は「配当所得」に区分されます。確定申告を行うことで、「申告分離課税」または「総合課税」どちらかの課税方法を選択することができます。

申告分離課税の場合の税率
・上場株式等に係る税率:20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%+住民税5%)
・一般株式等に係る税率:20.42%(所得税及び復興特別所得税20.42%)

総合課税の場合の税率
・累進税率5~45%

確定申告書の記載項目と必要書類

株式投資に関する確定申告で必要な記載項目と書類についてまとめます。

1.確定申告書の記載項目

確定申告では、主に以下の書類を記入します。

・確定申告書
→ 株式投資の売却益や配当金などの所得を記入します。

・申告書第三表(分離課税用)
→ 売却益(譲渡所得)や配当金(申告分離課税)について記載します。

具体的な記載内容としては、以下を記載する必要があります。

・株式の売却金額
・取得費(購入価格)
・売買手数料
・損益通算の内容(損失がある場合)

2.必要書類

株取引における確定申告に必要な書類は以下の通りです。

・年間取引報告書
証券会社から発行される年間取引報告書には、1年間の売却益や配当金の金額が記載されています。
※一般口座の場合、年間取引報告書は交付されないため、個々の取引についての取引報告書が必要になります。

・配当金の支払通知書(配当所得がある場合)
配当金を受け取る際に企業から送付される通知書です。

・経費証明書類(該当する場合)
株式投資にかかる所得を「事業所得」として申告する場合には、関連する出費を経費として計上できます。この場合、経費の内容を証明する領収書や明細書が必要です。
※事業的規模として投資を行っていると認められる必要があります。

おわりに

株式投資の確定申告は、損益通算や繰越控除を活用することで節税効果を最大化できるチャンスでもあります。ただし、手続きや計算方法が複雑で、初めての方には分かりにくい部分も多いかもしれません。
当事務所では、株式投資に関する確定申告や節税対策についてのご相談を承っております。プロの視点から最適なアドバイスを提供し、申告漏れがないようサポートいたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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