住民税(個人住民税)は、前年の所得をもとに毎年5月までに計算され、6月から納税がはじまる地方税です。住民税の20%までふるさと納税ができるということで、ご自身の住民税を改めて確認された方も多いかと思います。今回は、住民税の計算方法について、簡単にご説明します。
まず、住民税は、「均等割」と「所得割」に分けて計算されます。
①均等割
均等割は一部の人を除き、前年の合計所得金額が35万円を超える(扶養家族がいない場合)と課税されます。
原則、市町村民税3,000円、道府県民税1,000円と定められていますが、上乗せできるため、均等割の金額は場所によって多少異なります。なお、東日本大震災復興基本法等に基づき、平成26年度から平成35年度までの10年間は500円ずつ臨時的に上乗せされて市町村民税3,500円、道府県民税1,500円が標準税率になっています。ちなみに、福岡市の均等割は、市民税3,500円、県民税2,000円です。
②所得割
所得割は、下記の計算式で計算されます。
前年の課税所得額<所得金額-所得控除額> × 原則10%<都道府県民税4%+市区町村民税6%>-税額控除等
住民税の所得割は、所得税と同様に課税所得をもとに計算されますが、前年の課税所得をもとに計算され、所得控除・税額控除の金額や対象が少し異なります。また、所得税は、所得が大きいほど税率が上がる超過累進税率方式(課税所得金額により5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%の7段階に区分)で計算されるのに対して、住民税の計算は原則10%の税率で行われます。
住民税は所得税と比べて所得控除額が小さい傾向があり、たとえば、下記の点で異なります。
・基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除限度額、扶養控除(一般)
所得税38万円 住民税33万円
・障害者控除、勤労学生控除、寡婦(寡夫)控除
所得税27万円 住民税26万円
・地震保険料控除額
所得税最高5万円 住民税最高2万5,000円
・生命保険料控除額
新契約 所得税最高12万円 住民税最高7万円
旧契約 所得税最高10万円 住民税最高7万円
一方、雑損控除や医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除の所得控除額は同じです。
住民税の税額控除に関しては、たとえば、下記の点で所得税と異なります。
・配当控除の控除率が異なる
・住民税では、税額控除としての寄附金控除があるのに対して、所得税では寄附金の支出先によって所得控除または税額控除としての寄附金控除がある
・政党等寄附金特別控除や住宅耐震改修特別控除等は住民税の計算時にはない
・住民税では、基礎控除や配偶者控除、扶養控除等の人的控除額につき下記の調整控除がある
①合計課税所得金額が200万円以下
「人的控除額の差の合計額」「合計課税所得金額」いずれか少ない額の5%を減額
②合計課税所得金額が200万円超
{人的控除額の差の合計額-(合計課税所得金額-200万円)}の5%を減額
(2,500円未満の場合2,500円を減額)
このように、所得税と住民税は計算方法が異なりますが、簡便的には所得税の確定申告書上の「課税される所得金額」に寄附金控除額や人的控除の差額(たとえば基礎控除だと38万円-33万円=5万円)を足して10%をかけることで住民税の概算を知ることができます。給与所得者の場合は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」-「所得控除の額の合計額」が課税所得になるため、その金額に寄附金控除額や人的控除の差額を足して10%をかけると概算できます。
ふるさと納税の上限を知りたい場合には、計算した住民税の金額の2割として計算してみましょう。ただし、今年新たに自治体に申請するふるさと納税の寄附金控除は、今年の所得をもとに計算する来年の住民税に対して有効になるため、今回の確定申告等をもとにした概算はあくまで参考程度として考え、今年所得が大きく増減する予定の場合にはその影響を加味するように注意してください。
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