今回は、税務調査で指摘されて修正申告をしたり、更正処分を受けたことにより追加納税する場合に、税務署から課税される罰金加算税・延滞税に関してご説明します。
■過少申告加算税
過少申告加算税は、期限内に申告書を提出した後、税務調査で指摘されて行った修正申告や更生により追加で納付すべき税額が発生する場合の附帯税です。
原則として、追加本税(1万円未満切捨)×10%ですが、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分については、15%の割合で課税されます。
ただし、当初申告していなかったことに正当な理由がある場合(税務署で事前に相談していてその証拠がある等)には、過少申告加算税は免除されます。また、調査に基づかない自主的な修正申告の場合にも、この加算税はかかりません。なお、過少申告加算税は、還付申告の場合にもかかりますので注意しましょう。
■無申告加算税
無申告加算税は、①期限後に申告書を提出した場合や、②税務署長が決定を行った場合、および①②の後に修正申告書の提出または更正があった場合に課されます。
原則として、追加本税×15%ですが、納付すべき税額が50万円を超える部分については、20%の割合で課税されます。
ただし、正当な理由がある場合や、期限後申告書を2週間以内に提出し、全額を期限までに納付し、かつ、期限後申告書提出日の5年前までにその税目について無申告加算税・重加算税を課されたことがない場合には、無申告加算税は免除されます。また、自主的に期限後申告をした場合には、計算税率が15%ではなく5%になります。
■不納付加算税
不納付加算税は、源泉所得税が期限内に納められず納税の告知を受けた場合、あるいは期限後に納付した場合に課されます。
原則として、追加本税×10%ですが、正当な理由がある場合や、期限から1か月を経過する日までに納付されており、その期限の属する月の前月末日から1年以内に期限が到来する源泉徴収による国税について納税告知を受けたことがなく、また期限後に自主納付したこともない場合には、不納付加算税は免除されます。また、調査によるものではなく、自主的に納付した場合には、計算税率が10%ではなく5%になります。
■重加算税
重加算税は、上記3つの加算税が課される場合に該当し、隠ぺい・仮装により申告している場合には、上記3つの加算税に代えて課される附帯税です。
過少申告加算税に代えて課される場合 35%
無申告加算税に代えて課される場合 40%
不納付加算税に代えて課される場合 35%
重加算税の取扱いについては、税目ごとに「重加算税の取扱いについて」等として公表されており、税目ごとの特色に応じて多少違いがあるようです。具体的には、二重帳簿の作成や帳簿書類の破棄・隠匿・改ざん等が「隠ぺいまたは仮装に該当する場合」として法人税・所得税ともに挙げられていますが、法人税では特に売上の脱ろうや棚卸資産の除外に厳しくなっています。これは、所得税は10種類の所得区分があり、帳簿の備付義務がある所得以外の所得が多いことが影響しているようです。また、「帳簿書類の隠匿・虚偽記載等に該当しない場合」としては、収入・収益の翌期繰延べ計上(いわゆる期ずれ)や交際費・寄附金等の損金算入制限のある費目を正しく計上していなかった場合が挙げられています。ただし、いずれにせよ意図的に改ざんした場合には重加算税が課されると考えられます。
■延滞税
税金が期限までに納付されない場合には、原則として期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する延滞税が自動的に課されます。 延滞税の計算方法は以下のとおりです。
①法定納期限の翌日から2か月を経過する日(または完納の日)まで
納付すべき本税額(1万円未満切捨)×延滞税割合※1×日数
※1 年7.3%と特定基準割合+1%のいずれか低い割合。
ちなみに、平成27年1月1日から平成27年12月31日までは、年2.8%です。
②2か月を経過する日から完納の日まで
納付すべき本税額(1万円未満切捨)×延滞税割合※2×日数
※2 平成26年1月1日以後は、年14.6%と特定基準割合+7.3%のいずれか低い割合。
平成27年1月1日から平成27年12月31日までは、年9.1%です。
申告書を提出してから1年以上経過後に修正申告または更正があった場合、延滞税の計算は法定申告期限または申告書提出日の翌日から1年を経過する日の翌日を起算日として修正申告書を提出した日までその計算期間から除かれることとされています。つまり、たとえば、修正申告と同時に追加納税額を納付する場合には実質的には1年分のみの延滞税が課されます。ただし、不正行為があった場合には総期間に対する延滞税が計算されますので、一般的に、重加算税が課される場合には延滞税は総期間で計算されることが多いです。
また、延滞税は、災害による期限延長をした場合や納税猶予をした場合、税務署長等の裁量により免除されることがあります。ちなみに、加算税が5,000円未満の場合や、延滞税が1,000円未満の場合は、納付義務はありません。
加算税や延滞税はできるかぎり払いたくないですよね。申告は期限やルールを守り速やかに実施しましょう。また、誤りが見つかった等修正が必要になった場合には、自主的に修正することで加算税・延滞税を最小限に抑えましょう。
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