小西公認会計士事務所コラムvol.6
【外注費と給与の違い、説明できますか?】
外注費と給与の違い、きちんと説明できますか?
この二つはどちらも会社の経費となるという点では同じです。
しかし、もし税務調査で外注費ではなく、給料であると指摘されると痛いダブルパンチを受けてしまうことになります。そのダブルパンチとは消費税と源泉所得税です。
1.消費税
外注費であれば消費税が課税されますので、その支払った消費税分が、納める消費税から控除されます。しかし、給与であれば消費税は課税されませんので、消費税からは何も控除できません。そのため、外注費でなく給与であるとされてしまうと、その消費税分を追加で納付しなければいけなくなってしまいます。
2.源泉所得税
外注費であれば、源泉徴収は不要です(源泉税の徴収義務のある報酬に該当する場合を除く)。しかし、給与であれば、給与額に応じた源泉税の納付が必要になります。外注費でなく、給与とされてしまうと、その支払額に応じた源泉税の納付をしなければいけなくなってしまいます。これは支払を受けた相手が確定申告済みであっても義務を免れることはできません。
外注費と給料の判別方法
ではこの二つの判定は何をもって行うのでしょうか。実態として雇用契約に基づくものであれば給与、請負に基づくものであれば給与となるのですが、抽象的であるため判断の難しいところです。
この点、情報公開法によって開示された東京国税局の内部資料に、何を基準に判定するのかというのを解説した資料があります。この資料では、実務上の判定方法として、以下の5つのポイントを総合的に勘案して判断するとされています。
1.他人の代替を受けることができるか?=>Noなら給与
(自分自身で働かなければ対価を貰えないものを給与、下請けや従業員等の第三者に任せられる場合は外注費)
2.仕事の遂行にあたり個々の作業について指揮監督を受けるか?=>Yesなら給与
(仕事の進め方や働く時間等に関しては指揮監督を受けるようであれば給与)
3.引き渡しの終わっていない成果物が不可抗力によって滅失してしまった場合でも報酬を請求できるか?=>Yesなら給与
(請負契約(つまり外注)であるならば、成果物を渡さなければ報酬を請求できません。リスクを負うのが請負契約、追わないのが雇用契約となります)
4.成果物を作成するための材料が提供されているか?=>Yesなら給与
(外注であれば費用負担を自己する、給与であれば会社が負担するという考えに基づきます)
5.作業のための道具を提供されているか=>Yesなら給与
(こちらも費用負担の観点からです)
以上です。
これらの5つのポイントを総合的に勘案し、判断されることになります。
あくまで実態に基づいて判断することになりますので、契約書のタイトルが請負契約だったとしても実態として雇用契約であれば給与とされてしまうことがあるので注意しましょう。ただ、契約書は証拠の一つになりますので、上記のポイントを踏まえた契約書を準備することは有効な対策になると思います。
判例の判断基準
また、上記のポイント以外にも、判例では以下のような事項を基に検討するとされています。
-雇用契約又はこれに準ずる契約等に基づいているか=>Yesなら給与
-使用者の指揮命令に服して提供した役務か=>Yesなら給与
-使用者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受けているか=>Yesなら給与
-継続的ないし断続的に労務の又は役務の提供があるか =>Yesなら給与
-自己の計算と危険において、独立して営まれているか =>Noなら給与
-営利性、有償性を有しているか =>Noなら給与
-反復継続して遂行する意思があるか =>Noなら給与
-社会的地位が客観的に認められる業務か =>Noなら給与
上記のようなポイントを基に総合的に判断するように注意しましょう。
ダブルパンチを過去数年分にわたって食らうと結構きつい額になることが多いですので。
過去の判例
ではここで理解度を試す上で過去の判例を見てみたいと思います。
昭和56年の判例で、大学の非常勤講師に支払う報酬が給与か外注費かという点が争われました。
どっちだと思いますか?
この点、判例では、以下の理由より、非常勤講師は、大学の一般的指揮監督下にあり給与所得に該当するとされています。
-講義の時間・場所は大学によって指定されていること
-ある程度長期にわたること
-講義内容はカリキュラムに沿ったものでなければいけないこと
-月額の手当があること等
おわりに
いかがだったでしょうか。
なんとなく外注費か給与かを判断している場合には注意をして判断をするようにしましょう。
公認会計士・税理士 小西
——————————————————————————————————————————————————
Facebookでお役立ち情報を配信しています。是非いいね!をお願い致します。
小西公認会計士事務所では、公認会計士・税理士が会社設立、融資支援、事業計画の策定、節税対策までワンストップでお手伝いさせていただいております。単発の税務・経営相談もお受けしておりますのでお気軽にご相談ください。
小西公認会計士事務所
公認会計士・税理士 小西慎太郎
福岡県福岡市中央区大手門1丁目8番8号ベイサージュ大手門402
HP: http://konishi-kaikei.com/
Tel: 092-517-3505
——————————————————————————————————————————————————