今回は、税務調査対応に関するよくある疑問にQ&A方式で回答します。
Q1:調査官との議論を録音してもよいでしょうか。
A1:調査官の了解があれば可能ですが、一般的には、調査内容が無関係の第三者に開示されるおそれがあるため、守秘義務の観点から拒否されることが多いです。
ちなみに、無断で録音した場合、その証拠能力に関しては、「その録音の手段方法が著しく反社会的と認められるか否か」を基準として裁判上判断されるという判決が過去にあります。
Q2:人事関係の資料等個人情報の提出は、個人情報保護法の観点から拒否できるでしょうか。
A2:調査官の質問検査権は個人情報保護法の規定の例外とされているためできません。
Q3:威圧的な調査を受けました。抗議する方法はありますか。
A3:調査担当者の直接の上司にクレームを入れることにより、調査方法の改善が期待できます。なお、国税局及び主要な税務署には、納税者からの苦情処理窓口として、納税者支援調整官という担当者が置かれていますので正式にはこの窓口にクレームを入れることができます。
Q4:契約書への遡及日付の記載は重加算税の対象になりますか。
A4:一般的には、遡及日付記載の事実があり、それにより所得金額が過少になっている場合には、重加算税の対象となることが多いです。ただし、遡及日付記載の目的が税金の過少申告ではなく、取引上やむを得ない事情があった場合には、裁判上重加算税の対象とならないという判決が出る可能性もあります。
Q5:事実関係について確認書を書いて署名押印するように調査官に依頼されました。確認書にはどのような効果がありますか。
A5:確認書は重加算税賦課の際の証拠資料として使用されることが多いです。調査官が仮装隠ぺいを認める確認書のドラフトを作成し、納税者が納得しないままサインした場合には不利な証拠になることもありますので、注意しましょう。
Q6:調査官には昼食は出すべきでしょうか。
A6:国家公務員倫理法の規定で、調査官は利害関係者からの贈与や接待が禁止されているため、必要ありません。
Q7:調査官には「お土産」を用意すべきでしょうか。
A7:会社の申告誤りを自ら提示することを「お土産」と呼ぶことがあります。何か1つでも「お土産」があれば調査官は納得するだろうという考え方があります。しかし、「お土産」から派生的に非違事項が出てくる可能性もあり、また、調査を早く終わりたい気持ちがあること自体疑わしいという心証を与えるおそれがありますので、逆効果になると思います。
Q8:調査官の資料のコピー代は請求できますか。
A8:コピー機の使用料や紙代は、領収書があれば請求できます。なお、調査官に提出したコピーは、何を渡したか確認できるように必ず控えを残しておきましょう。
Q9:税理士資格を持たない第三者の調査立会はできますか。
A9:守秘義務の観点から、第三者の立会は難しい可能性が高いです。また、税理士以外の第三者が納税者に代わって主張したりすると、税務代理を行うこととなり、税理士法違反になるおそれがあります。
Q10:帳簿書類を持ち帰って検討したいという申し入れがありましたが、拒否できますか。
A10:帳簿書類を提示しないことには罰則がありますが、任意提出した帳簿書類の留置きを拒否しても罰則はありません。ただし、現場での調査が長引くことを防止し、調査を円滑にするという便宜上の観点から、協力するほうが結果的に納税者の負担軽減になる場合もあります。
以上、Q&A方式で10の質問をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。税務調査の事前対応として、以前ご紹介した税務調査の実際の流れと合わせてご確認いただければ幸いです。
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