税務調査のために調査官はどのような準備をしてくるのでしょうか。
今回は税務調査官の準備調査について確認しましょう。
一般的には、調査対象の法人が決定すると、まずは事業概況説明書や過去の調査時等に入手した会社案内(パンフレット)、ホームページをチェックし、どのような事業を行っているか把握します。グループ法人がある場合には、グループの事業概要も確認します。
それから、調査官は申告書や財務諸表の分析を行います。通常は過去5年間の申告数値を一覧表にして、変動を見たり、多額の費用計上科目を抽出し、特に重点的に調査する項目の検討を行います。たとえば、売上増加に対して所得増加が少なかったり、外注費が異常に増加していたりすると、不審点として調査項目となります。貸倒損失の多額の計上がある場合には、貸倒れの債務者の所轄税務署及び居住場所の住所地に照会して債務者の状況を確認する場合もあります。さらに、過去の調査で修正事項となったもの、特に重加算税の対象となったような点は、必ず内容を確認し、当時の調査担当者から過去の調査状況の聞き取り確認が行われる場合もあります。
他にも、代表者等の個人の申告状況確認や取引先の状況や必要に応じて内観・外観の調査を行います。役員等の収入・家族状況は、所轄税務署および住所地の市町村に照会して内容把握を行います。また、調査ポイントになる取引先を把握した場合は、取引先の所轄税務署に照会し、申告内容も含めた取引先の状況を確認します。飲食業等の場合には、内観や外観等の現地確認も行います。調査官はお客として実際に入店し、内部の状況を確認しながら、問題点の有無を調べています。商品を購入し、レジを打っているかどうか、現金を適切に管理しているか等について、お店の外観や内観の調査をします。少しぎょっとしますが、不正を行っていなければ特に怖がる必要はありません。
また、調査官はさまざまな法定調書等の資料情報にもしっかり目を通して税務調査に臨みます。法定資料の中でも、最近最も注目されている資料が国外送金等調書です。これは、国外への送金や国外からの送金を受領した金額が100万円超のものについて金融機関が税務署に提出することとなっている法定調書です。送金目的や銀行口座も明記されているため、準備調査の際に調査官がチェックする重要ポイントになっているようです。
近年、国外財産の保有が増加傾向にあるため、平成24年度の税制改正では、その年の12月31日に5,000万円を超える国外財産を所有する居住者(非永住者を除く)に対して、翌年3月15日までにその財産について報告することを求める「国外財産調書制度」が創設されました。国外財産調書を期限内に提出した場合には、その調書に記載がある国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときで も、過少申告加算税等が5%軽減される一方で、期限内に提出しなかった場合又は期限内に提出された調書に記載すべき国外財産の記載がない場合に、所得税の申告漏れが 生じたときは、過少申告加算税等が5%加重されます。 また、平成27年1月1日以後に提出すべき国外財産調書に、偽りの記載をして提出した場合又は正当な理由なく期限内に提出しなかった場合には、1年以下 の懲役又は50万円以下の罰金に処されることがあります。
話が少し逸れましたが、調査官はこのように様々な資料や情報網等を用いてしっかりと準備してきます。税務調査を受ける側も、専門の税理士とともに重点ポイントを洗い出し、事前準備をする必要がありますね。
次回は、いよいよ臨場調査についてご説明します。
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