小西公認会計士事務所コラムvol.23
【社会保険】130万の壁が106万円の壁に
これまで130万円の壁と言われていた厚生年金の加入義務が2016年の10月から改正されます。厚生年金や健康保険の加入要件が従来の年収130万円から106万円に引き下げられます。対象となる会社は限定され、条件にもよりますが、年収106万円以上の人も、厚生年金や健康保険の負担をすることになります。今回は、この改正の内容を中心に、所得税と厚生年金や健康保険の扶養について、確認していきたいと思います。
まず前提として、103万の壁、130万の壁とはなにかを確認していきたいと思います。
1.103万円の壁について
年間の給与収入が103万円を超えると、所得税の負担が発生します。年間の給与収入103万円の場合、65万円の給与所得控除を受けられます。さらに、基礎控除が38万円になります。よって、所得金額は、103万円-65万円-38万円=0となり、所得税はゼロとなります。
また、夫の配偶者として、配偶者控除38万円が受けられます。よって、年収が一定以上ある人は、配偶者控除38万円の対象外となります(年収141万円以内であれば、配偶者特別控除が受けられます)。配偶者控除の制度を見直そうという案が昨年浮上しておりましたが、一旦見送りとなりました。今後も改正の可能性があるので注意が必要です。
2.130万円の壁について
年間の給与収入が130万円を超えると、健康保険の扶養や国民年金の第3号から外れることになります。よって、自分で公的医療保険や公的年金に加入して、自分で保険料や年金を負担することになります。よって、年間の給与収入を130万円以内に抑えようとして、少ない時間で働こうとする傾向があります。この傾向を打破するために、今回、この制度が見直されました。
3.106万円の壁について
2016年10月から、短時間労働者のうち、厚生年金と健康保険の加入対象者が拡がります。年収130万円に満たない人でも、年収106万円以上であれば、社会保険の保険料負担が発生します。現状は、労働時間が週30時間(正社員の所定労働時間が40時間の場合、おおよそ4分の3以上)が厚生年金と健康保険の加入対象でした。2016年10月からは、以下の条件を満たした場合、厚生年金と健康保険の加入対象となります。
① 週20時間以上の労働時間
② 年収106万円(月収8万8千円)
③ 勤務期間が1年以上
④ 従業員501人以上の会社
【出典】 「短時間労働に対する被用者保険の適用拡大」 厚生労働省年金局平成26年9月18日資料より
今回の見直しの対象は、従業員501人以上の会社なので中小企業やベンチャーは対象外となりますが、今後は対象が広がる可能性もあります。厚生年金と健康保険の負担が増え、企業の負担増につながるため、今後の改正にも注目していきたいと思います。
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