小西公認会計士事務所コラムvol.16
【節税】社宅を利用すると節税になる理由
今日は意外と知られていない社宅が節税になる理由について解説したいと思います。
キーワードは「一定額の家賃」です。ややこしい話が嫌な方はまとめからお読み下さい。
節税になる仕組み
会社名義で社宅を契約すると会社の経費とすることができます。しかし、全額を会社で負担するということはできません。全額会社で負担をするとそれは給与を10万円増やしていることと同じなので、給与として課税されてしまいます。これでは会社の経費にはなっても、住んでいる人の給与が増加しますので所得税・住民税、社会保険料がその分発生してしまいます。これではトータルの節税にはなりません。かえって負担が増加することもあります。
ex.(家賃10万円の場合)
会社:10万の経費が増加 =>法人税が減る
個人:10万の給与増加として扱われてしまう =>所得税・住民税・社会保険料が増加する
ではどうすればいいのでしょうか。実際にその住居にすんでいる人から月々「一定額の家賃」以上を徴収すれば給与として課税されなくなります。この一定額の家賃は、固定資産税評価額を基に計算するのですが、実際の家賃と比べてかなり低い金額になることが多いです。10-20%程度ということもよくあります。例えば、家賃10万円だったとしても、固定資産税評価額から計算した「一定額の家賃」が2万円だったとすると2万円以上を徴収すれば給与として課税されないことになります。
これは個人からすると、実質的に手取りの8万円増加です(家賃負担が10万から2万になるため)。通常、給与を8万円増加させると、所得税・住民税・社会保険料もそれに合わせて増加しますので、手取りの増加は8万円より少なくなってしまいます。しかし、社宅とすることにより、追加の税負担なしで手取りを多くすることが可能となるのです。なお、「一定額の家賃」未満しか徴収しないと、会社で負担した分が給与として課税されてしまうので注意しましょう。
(家賃10万円、「一定額の家賃」2万円を徴収した場合)
会社:10万円の経費増加+2万円の雑収入(益金)増加 =>トータル8万円の利益減少(法人税が減少する)
個人:2万円の負担で10万円の家賃に住める => 実質的に8万円の手取りの増加(税金・社会保険料は変更なし!)
∴法人税を減らしながら、手取りを増やすことができる!!
まとめ
社宅で節税になるのは、「一定額の家賃」が実際に支払う家賃と比べて著しく低いことが原因です。
単純に言うと、会社が10万で借りているものを、2万で個人に貸してOK、しかも個人には課税しませんという制度です。ただ会社が損をする(=利益が減る)だけの制度なので、節税になるのがお分かり頂けるかと思います。
役員の節税対策にもなりますし、従業員への福利厚生にもなりますのでまだご利用されてない方は一度ご検討されるといいと思います。
住宅手当との違い
似て非なるものに「住宅手当」というものがあります。しかし、これはただの給与として課税されてしまいますので注意しましょう。
「一定額の家賃」の計算方法
「一定額の家賃」の計算方法は、従業員と役員で違います。
計算方法は以下の国税庁のページで確認できます。
従業員の場合
https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2597.htm
役員の場合
https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2600.htm
デメリット
税金・社会保険料の負担は減るのですが一応デメリットもあります。社会保険料のうち厚生年金に関しては、高い金額で掛けておいた方が将来受け取る年金の額が増加します。また、失業手当を受ける際にも給与の額を基準に算定されますので、給与として出しておいた方が受け取れる金額は増えます。
社宅は色々と細かい要件がありますし、計算も複雑ですので、実際に利用する際には注意しておこなうようにしましょう。
公認会計士・税理士 小西
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